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【レポート】松本蘭 クラスコンサート at 上田市立塩尻小学校

アーティスト・イン・レジデンス

松本蘭さんによるクラスコンサート at 上田市立塩尻小学校

2022年2月9日(水)

 

今年度のレジデント・アーティストをつとめるヴァイオリニストの松本蘭さん。この日の午後1時から、ピアニスト酒井有彩さんとともに、塩尻小学校の5年生を対象にクラスコンサートを行いました。

 

広い体育館で、32名の児童たちがステージ上を見つめながら、松本さんと酒井さんを待ちます。

 

 

 

拍手が鳴り響くなか登場したおふたりは、エルガーの「愛の挨拶」を披露。語りかけるようなヴァイオリンが伸びやかに響き渡ります。

 

「コロナ禍でなかなか演奏会に触れる機会がないと思うので、45分間、楽しい音楽の時間を過ごしてください」と笑顔で挨拶した松本さんは、ヴァイオリンがどういう楽器なのか紹介していきます。弓が馬のしっぽの毛でできていることを知っていた男子児童の博識ぶりに、松本さんと酒井さんが驚く場面もありました。

 

「ピアノとのいちばんの違いは、自分の感覚で音程をつくる点です」と言って、救急車のサイレンの音や、F1マシンが走り抜けるような音を再現します。

 

ヴァイオリンの表現力に驚く児童たちに「次はヴァイオリンでいろんな鳥の鳴き声を再現します」と伝え、ディニークの「ひばり」を演奏します。ヴァイオリンとピアノが、空を軽快に飛び、時に木の枝にとまってさえずる鳥の姿を表現。聞き覚えのある鳥の声も混じり、なんとも賑やかです。

 

 

 

 

続いては、酒井さんがピアノのことを紹介します。

「ピアノは主に木でできていて、音は羊の毛を圧縮したハンマーで下から弦を打って出します。他にも動物の皮から抽出した膠(にかわ)など、温かく柔らかい音のために自然のものがたくさん使われているんですよ」

 

酒井さんは小さなオルゴールを取り出します。ネジを巻いて、ピアノの心臓部と言われる響板に当てます。すると明らかに音が大きくなり、児童たちは驚いています。「大きなホールでもいちばん後ろに音を届けられるのは、この響板のおかげです」

 

そして、酒井さんは「革命に失敗した祖国・ポーランドを思ってショパンが作った曲です」と言って、「革命のエチュード」を演奏します。故郷を離れて悲しみに暮れるショパンの心を代弁するようなピアノに、児童たちは圧倒されているようでした。

 

 

 

松本さんが再びステージに現われ、4曲目の「波の盆」へ。世界でもっとも有名な日本人作曲家である武満徹が書いたこの曲は、ハワイに移民した日系人を描いたドラマのために作られました。現代音楽を手掛けた武満らしい不協和音の中から美しい旋律が立ち上り、子守歌のような懐かしさと優しさに満ちた音楽世界が広がります。

 

最後は、「フィギュアスケート選手の浅田真央さんが競技で使った曲としても有名」(松本さん)な、モンティの「チャルダッシュ」です。たっぷりと歌い上げ叙情あふれる前半に、早いパッセージに彩られる後半と、酒場で人々が歌い踊る情景が浮かんでくるようでした。

 

アンコールは松本さんが「私もピアノを弾きたい!」と意外な展開に。どんな曲を弾くのだろうと思っていたら「猫ふんじゃった」のメロディが流れて笑いが起きます。モーツァルトの「トルコ行進曲」に変わり、酒井さんにバトンタッチ。トルコの作曲家、ファジル・サイ編曲の「トルコ行進曲」は、ジャズのような響きです。

 

ひとしきり盛り上がったあと、松本さんは作曲について話し始めます。小学生の頃の松本さんは、自分の思いを文章にする作文が好きだったそうです。その後、文ではなく音に思いを込めて書く作曲を手掛けるようになります。

 

 

 

 

アンコールは、松本さんが作曲した「未来へ」。「明日はきっといい日になる」と背中を押してもらえるような、温かさに溢れた曲でした。

 

最後に児童たちから「音色がとてもきれいでした」「新しい曲をやる時はどうやって練習しますか?」「拍手を忘れるくらいすごかったです」など、たくさんの感想や質問が飛び出しました。

 

コロナ下で楽しみが少なくなりがちな児童たちにとって、音楽に心震わせる貴重なひとときとなったようです。

 

【プログラム】

エルガー:愛の挨拶

ディニーク:ひばり

ショパン:革命のエチュード Op.10-12(ピアノソロ)

武満徹:波の盆

モンティ:チャルダッシュ

 

【アンコール】

モーツァルト:トルコ行進曲(ファジル・サイ編曲/ピアノソロ)

松本蘭:未来へ