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【レポート】群馬交響楽団 上田定期演奏会 ー2022秋ー『~オール・フランス・プログラム~』

みる・きく
会場
サントミューゼ

 

 

【レポート】群馬交響楽団 上田定期演奏会 ー2022秋ー(第581回 群響定期演奏会プログラム)~オール・フランス・プログラム~

9月4日(日)15:00開演 サントミューゼ大ホール

 

今年で創立77周年を迎える群馬交響楽団による定期演奏会が、今年も開かれました。今回は個性豊かなフランス音楽を楽しむプログラム。指揮は、フランス・リヨン出身のパスカル・ヴェロさんです。

 

1曲目はパリで活躍した作曲家フランクによる「交響詩《呪われた狩人》FWV.44」。ドイツの詩人による同名のバラード(物語詩)に基づいて作られた曲です。物語は、狩りに出かける暴君の伯爵が日曜の礼拝に集まった人々の間を馬に乗って横切り、その冒涜によって永久に狩りを続けなくてはならない罰を受ける、というストーリー。

 

心地よく広がっていく柔らかな音色が、平和な日曜の朝を思わせます。狩りに出かけるシーンは、ホルンを始め管楽器がのびのびと一体感を持って響きました。エネルギッシュなシーンを経て、不気味さを感じるパートへ。最後は罰を受ける伯爵を思わせる激しい場面が描かれ、豊かな音の世界を楽しませてくれました。

 

続いて、サン=サーンスの代表曲「ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61*」です。ソリストとして登場したのはヴァイオリニストの辻?彩奈さん。2016年モントリオール国際音楽コンクールで日本人初の優勝を果たした注目のヴァイオリニストです。

 

第1楽章。情熱的に歌うように響くヴァイオリンに圧倒されます。美しいメロディー、高め合うオーケストラとヴァイオリン。ラストは甘美な調べから力強い和音への変化に魅了されました。

 

 

第2楽章は、流れるように美しいヴァイオリンソロから。ヴァイオリンとクラリネットの温かな二重奏が、しみじみと胸に迫ります。

 

第3楽章は映画の幕開けのようにドラマチックなメロディーから。第1主題は、スペインを思わせる情熱的な旋律。オーケストラのハーモニーと重なり、音が立体的に厚みを増していきます。

 

ヴァイオリンの鮮やかな技巧が冴えるこの曲。第3楽章の華やかなパートでは、笑みを浮かべて楽しそうに奏でる辻?さんの姿が印象的でした。クライマックスの盛り上がりは祝祭感さえ感じさせ、演奏後、客席からは拍手が惜しみなく注がれました。

 

ソリストアンコールで披露したのはバッハの「ロンド風ガボット」。ヴァイオリン一つで聴かせる豊かな音とリズム。全身で伸びやかに歌っているかのような、素晴らしい演奏でした。

 

 

 

プログラム後半は、ドビュッシー作曲の交響詩《海》から。海のさまざまな表情が描かれるこの曲は、初版楽譜に葛飾北斎の海を描いた版画が使われたそう。海の風景をそのまま映し出すのではなく、時間とともに変化する海の表情、水に輝く光などを音階やオーケストレーション、リズムのポリフォニーによって表現しています(プログラムノートより)。
第1楽章は「海上夜明けから真昼まで」。静かな低音から始まり、うねる波のように雄大なハーモニーが広がっていきます。水平線に広がる朝の光、寄せては返す波……。複雑な音色が、さまざまな海の姿を想像させます。

 

第2楽章「波の戯れ」は、ハープやグロッケンの音色が光にきらめく波を思わせます。イングリッシュホルンのしなやかな旋律にきびきびと響く弦楽器と、多彩な世界を堪能させてくれました。

 

 

第3楽章は「風と海の対話」です。不穏な音色から始まって物語のように展開していき、移り変わる海の表情を描き出します。華やかにうねるように盛り上がってフィナーレへ。

 

演奏後、各楽器奏者に起立を促し、賛辞の拍手を贈るパスカルさん。客席からも大きな拍手が贈られました。

 

プログラムのラストは、同名のバラードに着想を得て作られたデュカス作曲の交響詩《魔法使いの弟子》。物語は、魔法使いの弟子が先生の留守中にうろ覚えの呪文をほうきにかけてしまい、大失敗するというストーリー。ディズニー映画「ファンタジア」でミッキーマウスがこの音楽に合わせて弟子を演じたことで、いっそう有名になりました。

 

 

静かに始まった曲は、ファゴットによるおどけた旋律で楽しい雰囲気に変化していきます。スリリングな部分、不安な気持ちを表す部分など曲調が次々と変化し、おろおろする弟子の姿が目に浮かぶよう。心躍るシーンでは、体を揺らして演奏する奏者もいました。グロッケンやトライアングルのきらきらとした音に、ファンタジックな輝きが増します。

 

金管楽器のファンファーレとともに魔法使いの先生が帰還。正しい呪文を唱えて場を収め、一件落着です。叙情的なメロディーが物語の終わりを告げると、客席からは大きな拍手が雨のように降り注ぎました。

 

終演後、会場にお越しのお客様に感想を聞きました。長野大学の学生は、「オーケストラの生演奏を聴くのは中学生以来でしたが、やっぱり生の音は良いですね。客席の一体感も良いなと思いました」。松本市から訪れた女性は、「サントミューゼのホールは演奏者と近い感じがして、温かさを感じました。知らない曲も多かったですが、楽しかった」と話してくれました。

 

フランスをテーマに、実に多様な表情の4曲を堪能させてくれたこの日の演奏会。音楽の豊かさ、想像する楽しさが実感することができました。

 

〈プログラム〉

フランク/交響詩《呪われた狩人》FWV.44
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61*
ドビュッシー/交響詩《海》
デュカス/交響詩《魔法使いの弟子》

 

【アンコール】

▼ソリストアンコール(ヴァイオリン:辻?彩奈)

J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番 BWV.1006より「ロンド風ガボット」

【アンコール】

ショパン/マズルカ第15番 ハ長調 Op.24-2