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【レポート】アーバン サクソフォン カルテット サクソフォン・リサイタル

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アーバン サクソフォン カルテット サクソフォン・リサイタル

2023年7月22日(日)14:00~ サントミューゼ小ホール

 

今年度のレジデント・アーティスト「アーバン サクソフォン カルテット」は、中村優香さん(ソプラノ)、椿義治さん(テナー)、中村賢太郎さん(バリトン)、そして小林浩子さん(アルト)の4人をメンバーとした、サクソフォン・カルテットです。6~7月に上田市内でアウトリーチ活動を重ねて、集大成ともいえるリサイタルが開催されました。当日の様子をレポートします。

 

舞台に登場した4人は、呼吸を合わせるように頷き合って、1曲目の『バーレスク』を演奏します。ユーモアをたたえたおどけた性格の曲を指すバーレスクの名の通り、軽やかで緩急が心地よい楽曲です。4本のサクソフォンの華やかで温かみのある音が、曲に一層の彩りを与えています。

 

 

メンバー紹介をはさみ、2曲目、3曲目はドビュッシーの『アラベスク 第1番』とドヴォルザークの『ユーモレスク』を続けて演奏します。『アラベスク 第1番』はピアノ曲をサクソフォン四重奏に編曲したもので、ドビュッシーの独創的な美しい和声が印象的。ドヴォルザークの『ユーモレスク』は全8曲からなるピアノ曲集で、親しみ深いメロディの第7曲が演奏されました。

 

優香さんがマイクを取り、上田でのクラスコンサートや、地域ふれあいコンサートなどについて振り返ります。特に、子どもたちと交流しながら進めるクラスコンサートでは、「私たちが何かをもらって帰ってきていました」と、大いに刺激を受けたようでした。

 

4曲目の『エスクアロ』はスペイン語で(小型の)鮫という意味ですが、クラスコンサートでは曲名を伝えずに、どんなタイトルをつけたいかをイメージしてもらったそう。「スパイ」「怪盗」「逃げている人」「ハロウィン」「だるまさんが転んだ」など、子どもたちの自由な発想が飛び出しました。「皆さんもタイトルにとらわれず、自由に聴いてください」と言い、演奏へ。

 

 

アルゼンチン・タンゴの革命児であるピアソラは、スポーツ・フィッシングとしての鮫釣りを好んでいたのだとか。ウルグアイの音楽「カンドンベ」のリズムを取り入れ、鮫釣りのスリルと興奮が伝わってきます。

 

5曲目のチャイコフスキー『アンダンテ・カンタービレ』は、弦楽四重奏とはまた違う手ざわりと繊細さで迫ってきます。前半は、ジャンジャンの『サクソフォン四重奏曲』で締めくくります。

 

休憩をはさんで後半、1曲目はアメリカ人作曲家・トーキーの『JULY』。タイトルの通り、夏の強い日差しと夕暮れ時に吹く風の心地よさが表現されています。同じフレーズが繰り返されるミニマル・ミュージックというジャンルで、楽器に息を吹き込みながら同時に鼻で吸う循環呼吸法も使われます。

 

 

そして最後は、マスランカ作曲『マウンテン・ロード』。6楽章からなる長い作品です。「とても美しくて4人とも大好きな曲ですが、なかなか演奏する機会がありませんでした。上田の皆様なら受け止めてくれるのではないかと、思い切って選びました」と、満を持しての演奏です。

 

 

第1楽章は4本がピタッと重なって音を放ち、冒頭から明るいカタルシスが感じられます。華やかで目まぐるしい展開を経て、冒頭のフレーズが再度、より充実した音で登場。第2楽章以降も、バッハを研究していたマスランカらしく、バッハのコラール(讃美歌)前奏曲が散りばめられています。マスランカが見た「快晴の中、山道で新しい道路をつくる工事をしている」夢が反映されており、葛藤や悲しみ、内省などを感じさせながら、新しい人生と精神の解放を予感させる終わりに向かいます。

 

 

古典や正統を踏まえながらも、現代音楽的な響き、複雑な精神性を帯びた曲想が余すことなく表現され、1曲を通して旅をするような感覚でした。最後、4本がバトンを繋ぐようにコラールを奏で、穏やかに終わります。

 

熱演に応えるように大きな拍手が会場を満たします。「計10日の上田滞在で、いろんな方から温かい言葉と元気をいただきました。また大きくなって上田に戻ってきたいです」という挨拶に、拍手は一層大きくなります。

 

アンコールは、オードリー・ヘプバーンの映画で有名な『ムーン・リバー』。作曲家・ピアニストの山田純子さんに依頼してサクソフォン用に編曲してもらった、オリジナル・バージョンです。

 

お客様の感想です。小学5年生の女の子は、小学校時代にアルトサクソフォンを吹いていた中学生のお兄さん、お母さんと一緒に来てくれました。「東小学校のクラスコンサートに参加して、リサイタルに来ました。とてもよかったです」。東京から来られた女性は、優香さんにボイストレーニングを受けているのだとか。「とても素晴らしかったです。優香さんは歌もピアノもお上手で、多才な方です」と話してくれました。

 

 

【プログラム】

プラネル/バーレスク

ドビュッシー(編曲:中村均一)/アラベスク第1番

ドヴォルザーク/ユーモレスク

ピアソラ(編曲:中村優香)/エスクアロ(鮫)

チャイコフスキー/アンダンテ・カンタービレ

ジャンジャン/サクソフォン四重奏曲

トーキー/JULY

マスランカ/マウンテン・ロード

 

【アンコール】

マンシーニ(編曲:山田純子)/ムーン・リバー