【レポート】内藤裕敬さんとプロジェクト 演劇ワークショップ
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内藤裕敬さんとプロジェクト 演劇ワークショップ
開催日 2025年7月19日(土)
会場 サントミューゼ 大スタジオ
「南河内万歳一座」の座⾧であり、俳優・劇作家・演出家として活躍する内藤裕敬さんによるワークショップが開催されました。演劇経験者、高校の演劇部員も含め、多様な年代と属性の参加者が16名集まりました。
“教えない”演劇ワークショップ
ワークショップでは演劇のテクニカルなことはあまりやらないと言う内藤さんは、今回は想像力にアタックする“教えない”ワークショップをしたいと前置きします。

まずは参加者がペアになり、じゃんけんをします。勝ったほうが手を引っ込め、負けたほうは相手の手を叩くシンプルなルールですが、勝ったほうがつい叩いてしまうなど意外に難しい脳トレ的な遊びで、悔しがったり笑い声が上がったりと、場が一気に打ち解けます。

続いては絵画『モナ・リザ』のタイトル案を考えます。「女」「ある日」「ゆっくりしてって」「私を見て」「本能」「最新のトレンドスタイル」「強がらない」「こっち見るな」などさまざまな案が出て、内藤さんは「『モナ・リザ』よりこのほうがいいね」と面白がります。

続いては、そばに立っている人がモナ・リザに何か声をかけて、モナ・リザがどう答えたかを想像するワークです。「うふふ」「見透かされて困ることはおあり?」「あんたが言うな」「これがお気に入りだから」「ちょうだい」など、より想像力が刺激される言葉が並びました。「タイトル案は説明しようとして出てきた言葉ですが、モナ・リザの一言は遊んで出てきた言葉で、逆に言えば考えたら出てこない言葉。これが表現です」と内藤さんが種明かしします。

音楽と絵でさらに想像力を刺激する
次は、音楽を使ったワークです。短い音楽を3曲聴いてそれぞれ、どの季節か、海と山のどちらか、さらには数字の12345のどれを表現しているかを感じ取っていきます。内藤さんは参加者全員から、感じたことを引き出していきます。驚くほど多彩な受け取り方があり、想像力には際限がないことが体感できました。

音楽を聴いて3枚の絵のどれを表現しているかを感じ、最後は音楽から浮かぶイメージを絵で表現しました。演劇のワークショップで絵を描くことに面食らう参加者もいましたが、皆さん集中して紙に向かいます。「この“展覧会”を観て帰ってください」と内藤さんがしめくくり、ワークショップは終わりました。


演劇部員の高校2年生は、テクニカルなことを一切やらない内容に驚きつつ「演劇は遊ぶこと、play is playだと再確認しました」と感想を話してくれました。東京で演劇をやっている上田出身の男性は、お母様と親子参加です。「正解を出さなくていい、演出家にとって好ましい表現ということを考えなくていい、自由な発想でできるところが面白かったです」と話してくれました。
取材・文:くりもときょうこ
撮影:金井真一