サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館)

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【レポート】読売日本交響楽団 上田特別演奏会 関連プログラム 読響メンバーによる室内楽演奏会

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読売日本交響楽団 上田特別演奏会 関連企画 読響メンバーによる室内楽演奏会

開催日
時間
13:00~
会場
サントミューゼ 小ホール

 8月23日(日)の読売日本交響楽団(以下、読響)の公演を前に、読響メンバーによる弦楽四重奏団の室内楽演奏会が行われました。日曜日の昼下がり、開場前から小ホール入り口には長蛇の列ができ、お客様の期待が伝わってきます。

ぴたりと重なるクリアな音の響き

 照明を落とした小ホールに、ヴァイオリンの伊東真奈さん、堀内星良さん、ヴィオラの正田響子さん、チェロの芝村崇さんが登場します。
 1曲目はベートーヴェンの『弦楽四重奏曲 第1番 ヘ長調』。ベートーヴェンは初期、中期、後期それぞれに弦楽四重奏曲を集中的に作曲しており、第1番は5曲もの弦楽四重奏曲を作曲した1800年に完成しています。第1楽章は決然とはじまり、はつらつとした明るい曲調です。懇意にしていたヴァイオリニストに、2番目に作曲したこの曲を第1番とすることを勧められたというエピソードも納得の、堂々たる幕開けです。第2楽章は悲しげな雰囲気が漂い、ゆったりと展開していきます。この楽章は『ロミオとジュリエット』の場面からインスピレーションを得たのだとか。第3楽章は、ベートーヴェンが好んで用いたと言われるスケルツォ。軽快さとユーモラスな曲調に空気が変わります。終楽章はロンド形式で、明るい主題が変奏されながら繰り返されます。「トットットットッ」と一貫して刻まれる音は運命のモチーフでしょうか。最後は輝かしく終わります。

 伊東さんから曲についての解説があり、メンバー紹介へ。みなさんの素顔と仲の良さが伺えるあたたかな時間でした。「カルテットは久しぶりで、リハで音を重ねるところから楽しかったです。今日はその楽しい気持ちを共有できると嬉しいです。最後まで楽しんでください」と芝村さんが締めくくり、後半へ。

アメリカ音楽のムード漂うドヴォルザーク

 2曲目はドヴォルザークの『弦楽四重奏曲 第12番「アメリカ」』。堀内さんが曲の背景を語ります。職を得てチェコからアメリカに渡ったドヴォルザークは、『交響曲 第9番「新世界より」』を書いた後、チェコ移民が多く住むアイオワ州スピルヴィルで夏休みを過ごします。ここで、わずか3日で書き上げたのがこの曲でした。
 歌うようなヴィオラではじまる第1楽章。第1ヴァイオリンが奏でる第2主題は、ジャズのブルー・ノートが使われており、ドヴォルザークの黒人霊歌をはじめとしたアメリカ音楽への関心が感じられます。第2楽章はのびのびとした感覚に感傷がにじみます。チェロのピチカートが遠くで鳴る太鼓のようにも、ジャズのウッドベースのようにも聴こえます。第2ヴァイオリンとチェロで陽気にはじまる第3楽章は、途中にドヴォルザークがスピルヴィルで聞いた鳥の声が表現されています。疾走感ある第4楽章は、蒸気機関車のチャギングを連想するフレーズも聴こえてきます。途中、速度が落ちたと思ったら再びスピードを上げて終結部は華々しく終わります。

 カーテンコールを経て、アンコールはシューベルトの歌曲『アヴェ・マリア』です。23日の本公演の3つのシンフォニーの作曲家が出揃うサプライズでした。4つの楽器の音のまとまりは終始非常に緊密で、見事の一言でした。世界的に活躍する指揮者・福村太一さんの日本デビューでもある本公演への期待が高まります。

 お客様の感想です。長野市に住む親せきとともに滋賀県から来られたグループです。「暑い中、いい時間が持てました。特にドヴォルザークの第2楽章がよかったですね。上田観光も楽しみました」。上田市にお住まいの女性おふたりは、「自己紹介も楽しくて、お人柄も垣間見えて、23日の公演がもっと楽しみになりました」と話してくれました。

【プログラム】
 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第1番 op.18-1
 ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 「アメリカ」 op.96

【アンコール】
 シューベルト:アヴェ・マリア

取材・文:くりもときょうこ

撮影:齊梧伸一郎