サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館) おかげさまでサントミューゼは10周年

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【レポート】”BLACK BOTTOM BRASS BAND”Live!

みる・きく
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サントミューゼ

”BLACK BOTTOM BRASS BAND”Live!

2021年10月3日(日) 14:00開演 @サントミューゼ小ホール

 

日本唯一のニューオリンズスタイルのブラスバンド「BLACK BOTTOM BRASS BAND」(以下、BBBB)。トランペット、トロンボーン、サックス、スーザフォン、スネアドラム、ベースドラムの6人で編成されるBBBBが今秋もサントミューゼにやってきました。

 

 

 

それぞれ個性豊かな衣装に身を包んで登場したBBBBのメンバー。1曲目は3年ぶりのオリジナルアルバム『激情』から「Like the Wind」です。開放感にあふれたBBBBの音楽が響くと、会場のテンションはみるみる上がっていきます。続いての2曲目は「Hi! High? PECADOSS」。

 

曲が終わるとYASSYさん(トロンボーン)がマイクを取って、1年ぶりの上田来訪の喜びを口にしつつ、「ニューアルバムを全曲やってしまおうかなと思っています」と、コロナ禍でなかなかお客様の前で演奏できなかった思いを吐露します。今回が今年初のフルライブなのだとか。

 

 

 

「跳んでブルージェリー」をはさんで、おなじみ「ワッショイ★ブギ」へ。客席にもライトがつき「(コロナ対策で)声は出せないので、気持ちだけでも『ワッショイ』って言うてください」と、手の振りをレクチャーします。

 

いざ演奏が始まると、お客様も「ワッショイ!」という掛け声に合わせて両腕を挙げます。YASSYさんが「いらんもんを出して、サントミューゼに捨てていってください」「天井をぶち破ったらその上は快晴、世界中と繋がっている空です」と声をかけると、2年前の「上田城紅葉まつり」でのBBBBの野外演奏が蘇ってくるようでした。

 

「怪異の森」の後は、YASSYさん、YUTA919さん(トランペット)、IGGYさん(サックス)、TAMOTSUさん(スーザフォン)、ANTONさん(ベースドラム)とSEIYAさん(スネアドラム)がそれぞれの楽器と共に自己紹介します。

 

「パピヨン」のトロンボーンとトランペットのかけあいは、曲名の蝶々を連想させます。「YES ! OSSAN !」では、YUTA919さんがトランペットの音域が出るソプラノトロンボーンに持ち替えました。「今日は上田の街を応援します」と「YES ! UEDA !」と読み替えた掛け声をかけ、客席も盛り上がります。

 

一転、「幽霊のいるカフェ」では哀愁を帯びた音色をたっぷり聴かせてくれます。「いろんな人を見守る優しい幽霊の、前向きな悲しい曲です」という曲紹介通り、一風変わった曲想です。

 

そして、今回唯一のカバー曲であるエリック・クラプトンの「Change the world」。ニューオリンズの伝統的なパレードの独特なリズムは「セカンドライン」と呼ばれ、これに乗せると意外にどんな曲でもカバーできてしまうのだとか。キャッチーで切なく美しいメロディーがBBBBサウンドで増幅され、心を揺さぶります。

 

 

 

 

2回目のMCでは、BBBB出演の上田市PR動画が「第1回ふるさと動画大賞」で選考委員特別賞を受賞したエピソードと、前夜に開催されたアナリーゼワークショップの話が。ジャズを楽曲分析するという異色の試みで、お客様に大変好評だったそうです。

 

そして、BBBBの曲作りに話題は移ります。BBBBはメンバー全員が作曲する珍しいバンド。ひとつのアルバムをつくる際にメンバーが約100曲持ち寄るそうです。今回のアルバムはその中から14曲が選ばれました。「ライブで演奏すると、曲が育っていくんです」と音楽が生き物であることを教えてくれます。

 

10曲目は演歌をセカンドラインに落とし込んだ「一本節」。YUTA919さんがこぶしをたっぷりきかせた歌を披露します。

 

後半戦1曲目は、BBBBおなじみの“健康ジャズ”「DARUMA」から。これまたおなじみの振りで会場が沸きました。「激情」「逆さま男」「Pumpkin」と立て続けに演奏して、公演は終了。

 

アンコールの手拍子に乗って「Be Happy」「ブギーバック」の2曲を披露。そして、当日午前のワークショップ参加者が客席からステージに上がり、「聖者の行進」で締めくくりです。今回は、トロンボーン、アルトサックス(ブルースハープ兼)、テナーサックス、クラリネット(2名)、ボンゴという顔ぶれでした。メンバーに促されてお客様も立ち上がり、体を揺らします。BBBBらしい自由奔放、縦横無尽な楽しさにあふれたステージでした。

 

 

3歳のお子さんと参加された女性は、「子どもと一緒に楽しみたくて来ました。ジャズも大好きです」と、感想を教えてくれました。お子さんは「楽しかった」と、音楽の余韻を味わうように体を揺らしていました。

女性と男性のグループは、「声を出せなくても手を挙げたりして盛り上がりました」と、コロナ下の制限の多い中でも楽しまれた様子でした。

 

 

 

 

【プログラム】

オリジナル:Like the Wind◎

オリジナル:Hi! High? PECADOSS◎

オリジナル:跳んでブルージェリー◎

オリジナル:ワッショイ★ブギ

オリジナル:怪異の森◎

オリジナル:パピヨン◎

オリジナル:YES ! OSSAN !◎

オリジナル:幽霊のいるカフェ◎

エリック・クラプトン:Change the world

オリジナル:一本節◎

オリジナル:黄昏ソウル◎

オリジナル:DARUMA

オリジナル:激情◎

オリジナル:逆さま男◎

オリジナル:Pumpkin◎

 

【アンコール】

オリジナル:Be Happy◎

オリジナル:ブギーバック◎

黒人霊歌:聖者の行進

 

◎=アルバム『激情』より