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【レポート】伊藤文乃 アーティスト・イン・レジデンス クラスコンサート at 丸子北小学校

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伊藤文乃 アーティスト・イン・レジデンス クラスコンサート at 丸子北小学校

6月1日(火)

 

 

 

サントミューゼでは、毎年、※レジデントアーティストによる「芸術家ふれあい事業」を行っています。芸術家ふれあい事業とは、プロのアーティストが上田に滞在し、公演やワークショップ、市内の小学校や公民館でミニコンサートなどを開くもので、芸術をより身近に感じていただくことができる企画です。

※レジデント(resident):(形)在住の、駐在の、住み込みの

 

ヴァイオリニストの伊藤文乃(あやの)さんは、2021年度のレジデントアーティストの一人。5月にサントミューゼで公演を行った群馬交響楽団のコンサートマスターを務め、受賞歴も多数。7月2日には、サントミューゼでリサイタルを予定しています。

 

今回の滞在では、リサイタルで共演するピアニストの高橋多佳子さんとともに上田市内の小学校や公民館でミニコンサートを開催することになっています。この日は丸子北小学校を訪れ、5年生を対象に音楽室で「クラスコンサート」を行いました。

 

最初に演奏したのはエルガー作曲「愛のあいさつ」。なじみのあるメロディーがヴァイオリンの音に乗って優しく、美しく響きます。

 

 

 

 

 

演奏後、伊藤さんと高橋さんが生徒たちに語りかけます。

「この曲は、エルガーが奥さんに贈った曲です。美しく優しく喜びに満ちあふれていて、奥さんをどれだけ大切に思っていたか分かりますね」

 

さて、ここから楽器の解説です。「今日初めてヴァイオリンを見る人は?」と伊藤さん。半分以上の生徒が手を挙げました。

ヴァイオリンの弓を見せながら、「白いところは、何でできていると思いますか?」と問題を出すと、「ゴム?」「糸?」・・・と、さまざまな声が返ってきます。

これを受けて伊藤さんが、「動物の毛を使っているんです」

とヒントを出すと、今度は、「馬!」「羊!」と声が挙がり、正解が出ます。

「よく分かりましたね。これは馬のしっぽを使っているんです。1本の弓に、だいたい160〜180本の毛を使っています」

 

 

 

 

次に音の出方を解説。ヴァイオリンとピアノの違いを見ていきます。

まず、弦が4本のヴァイオリンは、ピアノと違って同時に4つの音しか出せません。また、ピアノは弾いた瞬間から音がだんだん小さくなり消えていくのに対し、ヴァイオリンは一つの音を長く保つことができます。

というわけで、実際に両方を弾いて、その違いを聴き比べてみます。

 

さらに、ヴァイオリンは指で弦を押さえることで音を作ります。わざと音程をつけずに弾くと、メリハリなくモワっと上がっていく音。生徒たちは、「サイレンみたい!」と反応します。

弓を使わず指で弦を弾く「ピチカート奏法」も披露しました。

 

続いてクライスラー作曲の2曲を演奏します。「ベートーヴェンの主題によるロンディーノ」は明るく、平和を感じさせる曲。対照的に、「愛の悲しみ」は切なく叙情的に響きます。生徒たちも、じっと聴き入っていました。

 

後半は、ピアノについて高橋さんが解説します。

「ピアノには230本の弦があるんです」との言葉に、「えー!」と驚く生徒たち。ピアノとヴァイオリンの最高音と最低音を聴き比べてみると、ピアノの音域の広さが分かります。

 

「ピアノは一度にたくさんの音を弾けるし、大きな音を出すこともできます。例えば、ベートーヴェンの『運命』・・・」

そう言って有名なフレーズを弾くと、生徒たちの表情が「知ってる!」というように輝きます。

 

「ではピアノで1曲、ショパンの作品を演奏しましょう。あ、あそこにいますね」

そう言って高橋さんが指さしたのは、壁にかかっているショパンの肖像画。生徒たちも一緒に見上げて「いた!」と声を出していました。

演奏したのは、愛らしい子犬の情景が浮かんでくる楽しい曲「子犬のワルツ」。前方に座っている子どもたちは、鍵盤の上を軽やかに舞う高橋さんの手元にじっと見入っていました。

 

 

 

 

再び、伊藤さんと二人で演奏です。マスネ作曲の「タイスの瞑想曲」。聴き覚えのある美しいメロディーを、歌うように奏でるヴァイオリン。表情豊かで、しみじみと味わい深い音色でした。

 

次に、モンティ作曲の「チャルダッシュ」。ハンガリーの踊りにルーツを持つ曲で、エキゾチックな調べが魅惑的です。伊藤さんの速い指の動き、高橋さんとの息の合ったコンビネーションも素晴らしく、演奏する楽しさが伝わってきました。

 

最後は生徒たちの質問コーナーです。「ヴァイオリンを耳の近くで弾いて大きな音を出しても、耳は平気なんですか?」という質問に「いい質問!」と驚いた表情のお二人。伊藤さんは、

「大丈夫です(笑)。いつも左耳が楽器に近いのですが、例えば電話を受ける時も、私は左耳の方が聞きやすいんです。鍛えられているんでしょうね」と回答。

「顎でヴァイオリンを挟んでいて、痛くならないんですか?」という質問には、

「顎と肩でしっかり挟んでいるから痛くはありません。でも実は、首にタコができちゃうんです」と実際に首を見せてくれて、生徒たちもちょっと驚いた表情に。

 

 

「二人の息がぴったりで、すごかった」という感想に「うれしい!」と喜ぶお二人。さらに「(演奏中の)表情が分かって楽しかった」という感想には、「細かいところまで見てくれて、ありがとう」と笑顔で答えていました。

演奏者の人柄も、音楽の素晴らしさも生で感じることができた貴重なひと時でした。