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【レポート】版画ワークショップ 美術家から学ぶ「はがし刷りからの展開」

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2021年12月11日(土)、12日(日) 各13:00~17:00
市民アトリエ・ギャラリー

 

本ワークショップは、「第46回全国大学版画展」の関連企画として開催しました。
講師は、女子美術大学准教授の阿部大介さんです。

 

講師の阿部さんは、あらゆる既存の立体物の表面を「はがし」取り、一般的な「版画」の枠を超えた様々な作品を制作しています。時には小屋や船などをそっくりはがし取った大きな立体作品を作ることもあるそうで、現代アート作家としても評価されています。

 

今回は、参加者の皆さんに、身の回りにあるもので「はがしてみたいもの」を持参してもらい、それらの表面をはがし取って、版画作品を制作します。

 

【一日目】
参加者の皆さんが集合し、まずは内容の説明。作業机の上には沢山の道具が置かれています。
これらの道具を使って、どんな作品ができるのか、とても楽しみです。

 

 

 

阿部さんが、見本として様々な「はがしとる素材」を準備してきてくれました。

 

    

 

素材の表面によって「はがして刷る」のに適したものと、そうでないものがあるそうです。

 

 

まずは、阿部さんが「サッカーシューズ」を使って、メディウムを塗る作業のお手本を見せます。

 

    

 

油性のインク(この時は版画用インクを使用)を、シューズの隅々まで塗り、表面を寒冷紗で拭き上げます。なお、この時のインクは、離型剤の役目をするものなので、安価なもので構わないそうです。
全体にうっすらインクが付いている状態で、アクリル絵の具を混ぜて白くしたジェルメディウムを塗り重ねていきます。

 

使用するジェルメディウムは、画材屋さんで手に入るものです。「HARD」と「HIGH SOLID」を混ぜて使用するとちょうど良いそうです。

 

  

 

メディウムは一層目を塗って乾かしたあと、トイレットペーパーなどをもう一度貼り付けて補強します。

参加者の皆さんも、さっそくそれぞれ持参したものにインクとメディウムを塗っていきます。

 

      

 

装飾されたお皿や古いカメラ、大きなものではノートパソコンなどを持ってきた方もいました。それらのものが、一体どのようにはがしとれるのか、ワクワクしてきますね。

 

 

一層目を塗り終えました。

 

一層目のメディウムを乾かしている間に、阿部さんが次の工程を説明します。
まず、乾いたメディウムを素材から丁寧にはがしていきます。

 

    

 

ここからの技法は、いわゆる「コラグラフ」という版画技法になります。はがし取ったメディウムを切ったり破いたりして貼りつけたり、後から台紙にも傷をつけるように描写したりして、自由に版を作っていきます。

 

 

参加者の皆さんも、阿部さんが予め作っておいたメディウムを使い、試しに版を作ってみました。

 

 

自然の葉っぱや木の皮などから、樹脂製のおもちゃ、インパクトドライバーなどなど、それぞれ違った表情の版になっています。
この後、参加者の皆さんが持ってきた素材に二層目のメディウムを塗り、一日目は終了。
果たしてうまくはがすことはできるのか、明日が楽しみです。

 

 

【二日目】
昨日塗布した二層目のメディウムが乾いているのを確認して、それらをはがす作業からはじめます。

 

       

 

古いカメラやノートパソコンもこの通り、きれいにはがすことができました!
これらのはがし取ったメディウムを使って、台紙に版を作っていきます。

 

台紙にメディウムをしっかり定着させている間に、阿部さんがお手本の刷りを行います。
まず、版に刷りのためのインクを付けていきます。版の隅々まで行き届くよう、ブラシなども使って塗り付けます。

 

   

 

全体にインクが塗れたら、よけいなインクを拭き取ります。寒冷紗や雑紙で丁寧に拭き取って、版の準備は完了です。
版は、阿部さんがランダムな素材からはがしたメディウムを台紙に貼りつけ、表面をカッターで切ってはがしたり、ボールペンの先で版をつぶすように描いたりしたものです。

 

見本の版を使って、一枚刷ってみます。
阿部さんが、昨日遅くまでかかってプレス機を微調整したおかげで、今回使う版にとって最適の状態になっています。

 

   

 

ゆっくりとレバーを引く阿部さん。どんな風に刷れるのでしょうか。

 

   

 

しっかり刷り上がっていました。
ランダムにメディウムを貼りつけた版で刷ったものですが、メディウムの表情が効いていて、おもしろい作品となっています。
版画のインクは乾くのに時間がかかるので、ベニヤ板に水張りテープで貼りつけておき、ゆっくり乾かします。

 

いよいよ参加者の皆さんも、自分の作品を刷っていきます。

 

   

 

阿部さんのアドバイスと調整により、皆さんかなりきれいに刷れています。

 

        

 

それぞれの個性が現れ、おもしろい作品に仕上がりました。

 

シンプルに素材の表面の表情を利用したり、コラージュして何か別のイメージを作ったり、展開図のように広げてもおもしろいです。
完全にインクが乾くまで1週間くらい美術館で乾かして、作品の完成です。

 

参加者の皆さんからは、「初めての技法だったけどとても面白い作品ができた」「子どもにも教えたい」「絵を描くのが苦手な人でも制作できるのが良い」「また上田に阿部さんを呼んでほしい」などの感想をいただきました。

 

これからも上田市立美術館では新しい技法や、おもしろい作家さんのワークショップを行っていきますので、ぜひご参加ください。

 

Text=清水雄


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