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【インタビュー】ピアニスト・仲道 郁代さん

インタビュー 2015.07.19

7月19日。

アナリーゼ(楽曲分析)ワークショップを終えられたばかりの仲道さんに、インタビューにお答えいただきました。

暑い夏の午後でしたが、暑さを忘れるほど、爽やかな風を仲道さんからいただいた気持ちになりました。

@サントミューゼ(上田市立美術館)中庭

インタビュー:サントミューゼ

 

 

 

サントミューゼ(以下:サ):アナリーゼワークショップ、お疲れ様でした。それから6月のワンコインマチネも大変好評でした。

 

仲道さん:ああ、ありがとうございます。

 

サ:「500円なのにとても贅沢な時間だった」というご意見や、「感動して泣きました」という方もいらっしゃったり、ワンコインマチネシリーズ一回目から大成功で、サントミューゼとしても本当によかったな、と思います。

 

仲道さん:本当にありがとうございます。

 

 

サ:ピアノの響き、会場の空気、それから仲道さんの演奏が全て一体となっていて、あくまでも個人的な感想ですけど、あそこまで素晴らしい音が鳴り響いたことに感動して、鳥肌が立ちました。

 

仲道さん:そうですか、ありがとうございます。嬉しい!

 

 

サ:ショパンは、世の中で恐らく多くの人が、一番耳にしたことのある、クラシックに普段なじみがない方でも、自然と耳に入ってくる作曲家だと思うのですが、今までずっと聴いてきたショパンなのに、初めて聴くショパンのような感動を覚えました。そのくらい今回の演奏は素晴らしかったと感じました。

 

仲道さん:それは本当に嬉しいですね。

150719_043クラシックって、ショパンにしても200年もずっと引き継がれてきた名曲たちじゃないですか。

それが弾く人が変われば、そしてお聴きになる方のその時の心境が変われば、また違った風に聴こえてくると。同じ曲でも、同じメロディでも。

同じその場で聴いてらっしゃる方でも、その方の隣で座っているあなたのご家族も、全く違う風に聴こえているかもしれない。その多様性が、やっぱり音楽の面白さだと思いますよね。

 

 

 

 

サ:そうですよね。

仲道さんの長いキャリアの中でも、ショパンをたくさん演奏されてきたと思うのですが、仲道さんのショパンへの思い入れといいますか、なぜショパンなのでしょうか。

 

仲道さん:ショパンは、ピアノという楽器を知り尽くした作曲家。ピアノに絶対に無理をさせないし、彼の音楽はピアノを超えないんですよ。ピアノという楽器が、最大限その良さを発揮できるように書いたのがショパンだと思うんですよね。

だからピアニストとして、そこにショパンの音楽があるということは、ピアノを弾く人ひとたちにとって、すごく恵まれたことだと思うんです。

 

と同時に、でもショパンってすごくポピュラーなだけに、ともすると表面的な魅力だけにとらわれがちで、ショパンの本質的な品格であったり、孤独であったり、想いであったり、というものをあんまり感じなくても聴けてしまう作曲家でもあるじゃないですか。

だから、逆に、そこに到達するのはとても難しい作曲家ですね。

 

サ:そういった意味では、6月1日の公演を聴きに来られた方の中には、初めて聴くプログラムもあっただろうし、普段からショパンが好きで聴かれている方もいたと思うんですけど、おそらく初めての感覚を、皆さん感じられたんだろうな、と思います。

 

仲道さん:それだったなら、すごく嬉しいです。私も常に、ショパンと向き合う時には、新しい気持ちで、彼は一体この曲に何を託そうとしたのだろうか、ということを、感情的にも、それから、今日のアナリーゼではグリーグの話をしましたけれど、作曲技法、分析的に考える、というその両面から迫っていかないと、浮き彫りにならないと思うので、そこはすごく心がけています。

 

サ:今、アナリーゼワークショップというお話が出ましたが、今日はユーモアも交えられて、楽しく聴かせていただきました。

 

仲道さん:あ、そうですか!いや、ちょっとマジメすぎちゃったかな、って思って。

 

一同:(笑)

 

仲道さん:もっと砕けたかったんですけど、はい (笑)

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サ:先ほど仰られていたように、楽曲や作曲家の背景を感じながらということだと思うんですが、今までの私のグリーグのイメージは、すごく堅い人、というか、型にはまる人というか。恐らく、尊敬する作曲家や先人たちの影響を大きく受けて、楽曲を作られていた人だと思うので、それが堅いというか、そういう人だったのか、と思っていたのですが、今日の仲道さんのお話を伺って、勿論そういったところもあるのかもしれないんですが、すごく繊細で、ロマンチストだったのかな、と。

 

仲道さん:そ、それがたくさんあって、だからこそ型にはめたんだと思うんですよ、自分の作品を。ということにおいて、作曲家として認められるっていうところ(がある)。それを心がけなかったら、ああいう大きな作品になり得ないくらい、なんて言うのかな、ポエジーがあって、ノルウェーの自然とか、その中から沸き起こる、愛とか感情をそのまま音にするような作曲家だったんだろうと思うんです。

 

それは彼の中では、葛藤だったと思うし、今日努力という言葉を話しましたけど、そういう部分だったと思います。

 

サ:なるほど。今日アナリーゼの中で、指揮者とコンサートマスターとソリスト、ピアニストの関係などのお話もありました。

 

 

仲道さん:そう、それ系の話をもっとしたいんです。

 

一同:(笑)

 

仲道さん:でもそうすると、アナリーゼじゃなくなっちゃう。(笑)

そっちがあんまり盛り上がっちゃいかん、と思ったんです。

 

一同:(笑)

 

サ:ああいうお話って、ステージに立って、あの場所にいないと中々想像できない部分だと思うので。

 

仲道さん:多分、なんかね、演奏者はみんな涼しい顔して弾いてます、みたいな。何事もないかのように。(笑)

でも、あの中では無言の、時にはバチバチと、時には融合するやり取りがあるのですね。

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サ:私の話で恐縮なのですが、映像音楽が好きで学生の頃は、ずっと作曲の勉強をしてまして、協奏曲というか序曲のようなものを作っていたのですが、ピアノとかヴァイオリンとか、それぞれのアタックの違いがあって。

例えばパソコンで作曲する時に、譜面とにらめっこしながら、譜面上は縦で揃っているんですが、(仲道さん:そうそうそう!)楽器によってそれぞれのアタック、出方の違いがあるので、一人で作っている時は、楽器によってずらせるんですが、ステージ上で演奏する立場にならないとわからない部分で、先ほどのお話は、「あ、そうか!」という感じで新鮮でした。

 

仲道さん:そう、まさにその通り。それが、ジャンっていうところでは非常に分かりやすいけど、歌うところでも、ピアノの出方と、管楽器とは全く違うし。もっと言うと、座っている場所がピアノがここ(と言って、ジェスチャーを交えて説明してくださいました。)だとすると、管楽器は随分奥になりますよね。これね、音に時差もあるんですよ。

指揮者はあの場所で調整してますけど、お客様がいた時にちょうど合って聴こえるための、ちょっとしたテンポとか、かなり微妙なことを調整しながら弾くんです、コンチェルトって。

 

 

 

サ:他の楽器それぞれあると思うんですけど、ピアニストの仲道さんならではのお話だったな、と思います。楽しかったです。

 

仲道さん:よかったです。いやあ、ついマジメになっちゃうんで。(笑)

 

マネージャーさん:はみだしてやろうとしてもマジメになっちゃうんでしょ。

 

一同:(笑)

 

サ:お客様も楽しそうに聞かれていて、笑い声もありましたし。

 

仲道さん:それだと嬉しいです。

 

サ:仲道さんは、今日のアナリーゼもそうですが、サントミューゼに深く関わってくださってまして。

 

仲道さん:本当にもう、何回来たかな。

 

サ:私より上田のことをご存知かもしれないですね。(笑)

 

仲道さん:いえいえ。あ、でも、食べ物屋さんは知ってるかも。(笑)

 

一同:(笑)

 

サ:開館して、サントミューゼは9ヶ月、間もなく10ヶ月が経つのですが。

 

 

仲道さん:まだ1年経ってないんだあ。すごい。

 

サ:これまでサントミューゼと関わってこられて、今までのサントミューゼ、現在のサントミューゼは、仲道さんからはどのように映っていますか。

 

仲道さん:ロビー周り(プロムナード)とかもどんどん、命を感じるというか。最初と比べて、建物が生き物になってきたっていう感じがしますね。

 

150719_070それはやっぱり、ここに集う地元の方であったり、スタッフの方たちがそこに、命を吹き込もうと努力をなさっているから。

それは、最初は派手ではないかもしれない小さなことたちが、どんどん薄紙を重ねるように、時を経ていった時に、どんなものになっていくのか、すごく楽しみな会館です。

 

今の日本の公共ホールに求められることをものすごく理解して、それに対応するべく、全方位的に頑張っていらっしゃる会館ってそんなにないので、ここが1年、3年、5年経った時に、上田に何をもたらしているのかというのは、これから全国的にも注目されると思いますよ。

ぜひ頑張って欲しいと思います。

 

サ:ありがとうございます。

今お話にもありましたが、サントミューゼに限らず、国内外で、地域との関わり、それと芸術文化、広く教育分野においても幅広く活動されてきたかと思いますが、地域と芸術文化の発展ということについて、どのように感じられていますか。

 

仲道さん:文化のないところには生きる力がない、と言い切ってもいいと思います。

文化というのは芸術と言われるものだけでなくて、生活の中の文化、お食事をどう、おいしく楽しく食べるか、から文化じゃないですか。家族とどう過ごすか、から。

150719_072でもその文化力っていうのは、やっぱりそこにトップ芸術があって、そこから受ける影響がないと、ヘタれていくものだと思うんですよ。発展しない。

だから生活文化を豊かにするためにも、やっぱり芸術が必要で、生活文化がどんどん豊かになれば、芸術も育つんです。

だからこの二つ(生活文化と芸術)は、「全然違うもんじゃない」、って思うかもしれないけど、やっぱり切り離せないものなので、その両面を視野に入れながら、会館が事業を行っていくということが、地域の底力をアップすることに繋がると思うんです。どっちかだけになってしまうと、みんなが享受できない。両方必要だと思います。

 

サ:まちの特色とか、文化に対する熱意というか、土壌とか、理解とか、そういったものには違いがあると思うのですが、国内外で活動されていて、どういったまちがこれから楽しみだな、と感じますか。文化に限らず。

 

仲道さん:やっぱりね、住んでるひとたちに笑顔があるということですよ。笑顔っていうのは、ただ楽しいっていうだけじゃなくて、顔は笑顔を作ることができるというのは、どんな大変な局面にいてもそれを乗り越えようする力があるから笑顔ってできると思うんですね。

 

やっぱり笑顔。ひとが笑顔でいられるところ。表面的な意味じゃなくて。そこにはやっぱり人生を楽しむ。人生をありがたく思う。そこに幸せを感じることができる。より良くしようと努力することができる。そして努力することを厭わない。それに疲弊感を感じない。大変でも、頑張っている自分を褒めてあげられるような、そんな気持ちを持つひとがたくさんいるところがすごく地域力がある感じがします。

 

サ:上田ってどうですか。

 

仲道さん:うん、私が知る限り皆さん笑顔多いですよ。

 

150719_073上田で小学校とかいっぱい行っているじゃないですか。

(サントミューゼは)音楽に限らず、美術でもいろんなプロジェクトやってますよね。で、やっぱりそういうことって、芸術ってひとを排除しないんですね。あなたは足し算ができないからダメとか、あなたはこれができないからダメとか言うんじゃなくて、あなたのそのアイディア素敵じゃない、それをもっと良くするにはどうしようとか、みんなで考えようよ、ってうのが芸術なので、それを繰り返していったら、ひとってすごく育つと思いませんか。

なので、ここ(上田)の子どもたち、小学校もたくさん行かせていただいて、小学校ごと、クラスごとにいろんなカラーがあって、もちろんお子さんの中にもいろんな子がいて、元気な子もいれば、シャイな子もいて。

でもそれぞれの子の中で楽しんで受け止めて、そこに自分がいることを認める、いていいんだ、って思える社会があったら、ハッピーになれるのかな、って思います。

 

 

 

 

 

サ:8月6日に群馬交響楽団の公演を控えていて、ムソルグスキーの「展覧会の絵」がプログラムにあります。

今、取材させていただいている場所は、美術館エリアの中庭なんですが、

 

仲道さん:おもしろーい!こんな会館見たことない。

 

一同:(笑)

 

サ:ボードがあって、子どもたちが自由に描ける場所のひとつなんですが、見ていると、小さな面積の中で、ものすごいものをじっと描いている子もいれば、身体中絵の具だらけにして、大胆に、めいっぱい描いている子もいて、この後、上田出身の画家さんで白井ゆみ枝という画家さんと、名曲コンサートとのコラボレーション企画ということで、仲道さんにも描いていただくんですけど、普段、絵とか描かれますか。

 

仲道さん:下手なんですよね。

 

一同:(笑)

 

仲道さん:でね、そこなんですよね。私本当に下手で、恥ずかしくて描けたもんじゃないんですけど、それが下手とかうまいじゃなくて、っていうところですよね。子どもさんの絵も、こういう風に描きなさい、これはこう描くものですよ、っていうんじゃなくて、じゃあ、あなたの好きに描いてくださいってなると、でも好きに描くということは単に自発性、っていう部分だけじゃなくて、好きに描く中の工夫であったり、技はちゃんと教えてあげる、こういう風に描いたら面白い、こうしたら面白いっていうプロセスをちゃんと見せてあげる方法、でやったら素晴らしい思う。突然、好きに描け、って言われてもね、「好きに描くってどういうこと」ってなっちゃうから。

私も音楽のワークショップをこちらでもさせていただいていますけど、そのプロセスを大事にしたいところです。ぜひ美術の方もそういう形でいけた暁に、上田の子どもたちがどうなるか、すごく楽しみですよね。

 

サ:ありがとうございます。8月6日の公演を控えて、今日のアナリーゼでもテーマになった、グリーグもプログラムにありますが、上田市民の皆さんにメッセージをお願いします。

 

仲道さん:いや、もうめっちゃ盛り上がる曲ですよ。

もうね、最後はうわーっていうね。やっぱり協奏曲ってこういうものでしょ、っていうね。ピアノは楽器の王様だっていう、オーケストラとピアノが渾然一体となって、大ホールに響き渡るハーモニー。

で、グリーグは本当に山のある自然の中(で暮らした)作曲家だから、上田にぴったり!

上田の自然とリンクして、公演終わって外に出ると、深呼吸したくなると思います。

楽しみにしていてください。お待ちしています。

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最後に、仲道さんからこんなお言葉がありました。

『これからサントミューゼで何ができるか楽しみです、ウ・フ・フ❤️「ウ・フ・フ」って書いておいてください(笑)。ありがとうございました。』

 

 

 

 

(インタビュー後…)

仲道さんは美術館の子どもアトリエに移動されて、群馬交響楽団名曲コンサートとのコラボレーション企画「音のオーロラを描こう」にご参加いただきました。仲道さん、地元上田出身の画家、白井ゆみ枝さんと小学3年生以上の子どもたちや、大人も参加の企画です。

 

今回は、白井さんからのお願いで、「音のはじまり」を仲道さんに描いていただくことに。

 

この日は残念ながら来られなかった、白井さんによる動画メッセージをご覧になったあと、まずは練習開始です。

施設内には、名曲コンサートにちなんで、音楽が流れています。音を聴いてそこから生まれるものを絵に表現する企画です。

 

 

仲道さん:えーっ、わかんない、どうしよう。

すっごい、下手なんです。

 

と、最初は戸惑っていた仲道さんですが、白井さんからの動画を何回か確認し、スタッフに聞きながら、少しづつ描き始めました。

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と、思いきや。

どんどんと調子を上げていく仲道さん。

 

仲道さん:あ、なんか楽しいかも!

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と、すっかり楽しまれている様子。

 

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練習を終えて、いざ本番です。

 

絵の具は、「アクリル絵の具」という画材を使用します。水溶性ですが、乾燥すると洗っても落ちない絵の具です。水と混ざるタイミング、混ざり方に特徴があって、油絵の具や水彩絵の具とは違った表現世界が生まれます。

 

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少しずつ、筆を下ろしていく仲道さん。

 

 

仲道さん:どうしても小さくまとまっちゃう。マジメな性格がでちゃうなあ。(笑)

 

と言いつつ、やはりアーティスト。あっという間にコツを掴んだ様子。

「楽しい〜」「みんなもやらないの?」

 

といつの間にか、完全にノッてます。

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仲道さん:「音楽を聴きながら絵を描くって、ものすごいヒーリング効果があるかも。これすごいですね。」

 

と、今回の企画を楽しんでいただけたようです。

 

 

 

仲道さんと白井さん、そして地元の子どもたちが描いた作品と、その制作の様子は、プロムナードにて展示しています。また、群馬交響楽団「名曲コンサート」にご来場のお客様には、8月6日大ホールホワイエにてパネル展としてご覧いただけます。※8月6日以降、パネル掲示をプロムナードにて行います。

 

ぜひお越しください。

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