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【レポート】デュオ・レゾネ 地域ふれあいコンサート~中央・川西地域~

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【レポート】デュオ・レゾネ 地域ふれあいコンサート~中央・川西地域~
デュオ・レゾネ(クラリネット&ピアノ)コンサート

vol.28 6月24日(土) at 中央公民館 大会議室
vol.29 6月25日(日) at 川西公民館 大ホール

 


クラリネットの亀井良信さんとピアノの鈴木慎崇さんが2011年に結成したデュオ・レゾネ。

5月はアウトリーチ活動で小学校などで活動を行いましたが、6月後半の週末は上田市内の公民館でワンコインコンサートを開催しました。

 

24日は中央公民館で行った、2017年度第1回目のふれあいコンサートということもあり、外を歩くのもしんどくなるような蒸し暑い1日にも関わらず80人ほどの市民が集まりました。

年齢層も幅広く、小学生の女の子4人が最前列に並ぶ中、コンサートはスタート。

 

 

この日は大会議室での開催だったためステージは無く、通常のコンサートでは体験できないほどアーティストと観客の距離が近いのが特徴で、ゆえにピアノとクラリネットの音に迫力を感じます。
一方25日は川西公民館で実施しました。

近くには愛宕山をはじめとする里山をはじめ、浦野川やたけのはな水辺公園、さらには複数の池が点在する水辺が多いことで知られています。

すぐ間近に自然が感じられる風景を窓から望める大ホールを会場に、前日同様たくさんの市民が詰めかけました。

 

 

両日ともにプログラム構成は同じでしたが、さまざまな驚きを届けるコンサートとなりました。

 

 

1曲目に演奏したハーマン作曲「クラリネットが街にやってきた」は、軽快で朗らかなリズムが心地よく、午後の活動的な時間帯にふさわしい曲でした。

 

演奏を終えると、「挨拶代わりにラルク・ハーマンというアメリカの作曲家の曲を演奏しました。今日はいろんな曲を弾いてみたいと思います。ピアノのソロはよくありますが、クラリネットをソロで聴いた人は少ないと思います」と、ピアノの鈴木慎崇さんから挨拶。

つづいてクラリネットの亀井良信さんがクラリネットという楽器の構造について説明していきました。

 

クラリネットは分解すると、ベル、下管、上管、樽(バレル)、リガチャー、マウスピースの7つのパーツがあることや、パーツを組み合わせて長さが増すごとに音が低くなるなどの仕組みを実際にパーツを外したり、吹いて音の違いを示しながら説明。

 

 

つづく2曲目ではパーツを分解できる特徴を生かして、演奏途中に1パーツずつ取り外しながらビゼー作曲(エオー編曲)「だんだん小さくカルメンバージョン」を演奏。

 

少しずつクラリネットを短くしながら演奏していく姿とカルメンの情熱的で緊張感のあるリズムが相まって、

まるでマジックショーを観ているようなドキドキ感の中、

最後は口や手を使ってマウスピースだけで音階を取って演奏し、音楽が終わった瞬間に観客からは大きな拍手が寄せられました。

 


つづいて鈴木さんによるソロ演奏へ。

選んだのはラフマニノフ作曲「前奏曲『鐘』」です。

 

ピアニストとして手が大きいほうで1オクターブからさらに「ミ」まで届くという鈴木さんですが、ラフマニノフはさらに「ソ」まで届いた大きな手を生かした曲をたくさん生み出しました。

 

それゆえにピアニストの技術力を問われる曲です。

この日はピアノの位置と客席が近かったことから、「全力で弾くのでうるさいかもしれません」と冗談まじりに話して場を和ませてから、「前奏曲『鐘』」を演奏しました。

 


身体の奥にまで響くような荘厳な鐘の響きを想像し余韻に浸る中、亀井さんがバスクラリネットを持って再び登場。

 

 

サックスから転じたこの楽器はソロで演奏されることは滅多になく、亀井さん自身も今回が初めてという中、ピアソラ作曲の「言葉のないミロンガ」を演奏しました。

楽器の長さがある分1オクターブ低い音域のバスクラリネットはふくよかかつハスキーな印象。

音を出すたびに床が少し振動するようで、そういった感覚が味わえるのも間近で楽しめるワンコインコンサートの醍醐味です。

 

再びソプラノクラリネットを手にした亀井さんは「大型車から軽自動車に乗り換えたようなコンパクトさですね」と例え、ミヨー作曲の「スカラムーシュより『ブラジルの女』」と続きました。

 

 

子どもたちも身体を揺らすほどリズミカルな音で、亀井さんの指の素早い動きはまるでサンバを踊る女性の足のようでした。
そして最後はクラリネット、ピアノと交互に独奏をつづけ後半でともに演奏していくジャンジャン作曲「『月の光』の主題による変奏曲」へと続き、それぞれの楽器の魅力、調和した時の豊かな音の広がりなどを感じ取れるようでした。

 

またアンコールでは、ブラームス作曲「クラリネットソナタ第1番 へ短調 Op.120-1 第2楽章」をセレクト。

 

「吹いていてもとても幸せを感じる曲ですが、最近は少しもの悲しく感じる部分があります」とこの曲について亀井さん。どこまでも静かで美しい音色は、休日のゆったりとしたモードにふさわしい締めくくりでした。

 

 

2日間ともに、会場の作りなどを考慮して後ろの席の観客まで楽しめる工夫がされていました。

特にホールで開かれた2日目は、だんだん小さくカルメンバージョンの演奏中に亀井さんがクラリネットを吹いたり、分解しながら客席を練り歩いて、観客もその行方を追いかけるように横や後ろを見ながら楽しむ姿が印象的でした。

 


コンサート終了後には、実際に中学校の部活動でクラリネットを担当している女性から亀井さんにどうやったら上手になるかなどの質問が寄せられました。

「たくさんの音を聴き比べて、その中で自分の音を見つけるといい」とアドバイスする亀井さんの言葉を噛み締めるように、真剣に聞いている姿が印象的でした。

 

 

 

 

 

7月22日にサントミューゼ小ホールで開催される『デュオ・レゾネ・リサイタル』では、お二人としても初となるドイツプログラムを中心とした構成を予定しています。

どうぞお楽しみに!