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【レポート】デュオ・レゾネ アーティスト・イン・レジデンス川西地域

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【レポート】デュオ・レゾネ アーティスト・イン・レジデンス川西地域

2017年5月26日(金)クラスコンサート at 浦里小学校

 

サントミューゼでは開館以来、アーティストが上田に滞在しながら地域の公民館や学校へ出向き、コンサートやワークショップなどの音楽活動を行う「アーティスト・イン・レジデンス事業」を行っています。

 

2017年度最初のレジテントアーティストは、クラリネットとピアノから成る「デュオ・レゾネ」のお二人。

「レゾネ」は、“響き合う”を意味しています。

 

 

この日は、上田市立浦里小学校でクラスコンサート、そして保護者を招いた放課後コンサートを行いました。

 

 

「なつかしの小学校木造校舎100選」に選ばれている浦里小学校は、味わい深い校舎が映画やドラマのロケに使われたこともある学校。

デュオ・レゾネのお二人も、「ここで勉強できる子どもたちがうらやましい」と感激していました。

 

 

挨拶となる最初の曲は、軽快な「ギスガンドリー」。

クラリネット奏者、亀井良信さんがテンポの速いメロディーや難しそうな高音域を難なく演奏し、その軽やかな指先の動きにじっと見入る児童も。

鈴木慎崇さんのピアノがそれに合わせて、華やかに曲を盛り上げます。

 

 

続く「ボーデル1900」は、警官と売春婦の追いかけっこを描いた曲。

曲中でピアノの譜面台を叩いてハイヒールの足音を表現したり、クラリネットが警笛のように甲高く伸びたり。

ユニークな音の数々に情景が思い浮かび、ぐっと引き込まれます。
「情景を自由にイメージしながら音楽を聴くのも、一つのアイデアですよ」と亀井さん。

 

クラリネットを間近で聴くのは初めての児童たちに、ここで亀井さんが楽器の特徴を説明します。
「クラリネットは分解できるんです。いくつになると思う?」と尋ねると、口々に「4個」「5個」と児童たち。

ところが実際に分解していくと・・・・・・正解は7つ。

「そこも外れるんだ!」と驚きの声が上がります。

 

 

 

口を当てる部分にあるのが、リードと呼ばれるパーツ。

「これ無しには音が出ないんですよ」と亀井さんが吹いてみせると、意外なほど大きな音に、「わあ!」と驚きの表情です。

 

 

ロシアの祭りの音楽を取り入れた曲「クラリネットのための3つの小品」は、亀井さんが席の間を練り歩きながら演奏。

嬉しそうに目で追う児童の前で時折立ち止まったり、顔の近くで演奏したり。

演奏後は素敵な音の余韻が残り、「こんなに近くで聴けるチャンスはなかなかないよ」と鈴木さん。

 

 

 

「曲を聴きながら“色”をイメージしてみて」と始まったのは、プーランクの「クラリネット・ソナタ」第一楽章。

 

 

音が重なりながら大胆に展開し、さまざまなイメージが浮かぶ曲でした。
演奏後には次々と手が挙がり、「白と黒」「青と黒が混ざった感じ」「焼けた赤っぽい感じ」と、それぞれ自由なイメージを発表してくれました。

 

 

ここで鈴木さんが解説。
「この楽譜には『速く、物哀しく』という意味の『アレグロ・トリスタメンテ』とあります。

暗い色を思い浮かべた人にはそれが伝わったのかな。

でも、どの色も正解ですよ。
難しい曲だと感じたら、こうして色を思い浮かべながら聴くのも一つの楽しみ方ですね」。

 

 

 

最後は、ビゼーの組曲『カルメン』の「ハバネラ」と『アルルの女』の一節を織り交ぜて演奏。

「最後なので、片付けながら吹きます!」と、演奏しながらクラリネットのパーツを一つずつ外していきます。

外すたびに音が高くなり、音色も変化。

次はどうなるのか、児童たちはワクワクした表情で耳を傾けていました。

 

 

終演後、「面白かった!」「指を押さえる場所で、音が変わるんだね」と話す児童たちの楽しそうな表情が印象的でした。

 


5月26日(金)放課後コンサート at 浦里小学校

 

夕方の放課後コンサートには、児童とご両親やおじいちゃんおばあちゃん、小さなきょうだいと、幅広い世代が集いました。

デュオ・レゾネのお二人が登場すると、「また会えた!」と笑顔で迎える児童たち。

 

一曲目はハーマン作曲「クラリネット・オン・ザ・タウン」。
美しくも妖しげなメロディーは初夏の夕暮れにぴったり。

歌うようなクラリネット、優しく流れるピアノが教室を優しく包み、参加者はじっと耳を傾けます。

 

 

続いては、ピアノの音の仕組みを解説。

部品を部分的に外し、鍵盤の奥の「ハンマー」と呼ばれるパーツがずらりと姿をみせると、「おおー」とどよめきが起きました。
「鍵盤を押すとハンマーが上がって弦を打ち、音が出ます」と、鍵盤を叩いて見せてくれた鈴木さん。

身近な楽器ですが、構造は意外と知らないもの。

新鮮な気持ちで音色を楽しむことができました。

 

 

ピアノソロで演奏したのは、ラフマニノフ作曲「鐘」。

凛とした印象で始まり、音のすみずみまで繊細な美しさを宿します。

強弱の波、ドラマチックな旋律で、ピアノの音の幅広さを堪能させてくれました。

 

続いて「放課後なので、大人向けに“ジャズな曲”を」と、ペンブルトン作曲の3曲を披露。

2人の息もぴったりで、艶のある音が夕空に溶けていきました。

 

最後は浦里小学校の校歌を演奏。

児童も大人も、全員立ち上がって歌います。

大きく口を開けて歌うおおらかな声が、夕暮れの校舎に温かく広がっていきました。

 

 


「私たちはクラシックなど古い音楽を演奏することが多いのですが、浦里小学校は古い校舎がそのまま残っており、素晴らしいですね。これからも大切にしてください」。

 

そんな鈴木さんの言葉が印象的でした。