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【レポート】デュオ・レゾネ リサイタル

みる・きく
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サントミューゼ

【レポート】デュオ・レゾネ リサイタル

デュオ・レゾネ リサイタル
2017年7月22日(土) at 小ホール

 

レジデントアーティストとして春から上田を訪れ、学校や公民館でのコンサート、アナリーゼワークショップなどを行ってきたデュオ・レゾネが、サントミューゼ小ホールでリサイタルを行いました。

 

にこやかに登場したお二人、最初に披露した「メロディーのように 作品105-1」は、さわやかな音色が暑さを忘れさせるよう。

 

 

亀井良信さんのクラリネットと鈴木慎崇さんのピアノが美しく溶け合い、デュオ名が意味する「響き合う」を体現します。

 

今日のリサイタルは、ドイツの曲で構成された「ドイツプログラム」。
かつてフランスで演奏活動を行っていた亀井さんは、
「フランス音楽は音形が動き、総じて音数が多いんです。対してドイツ音楽は、音色をじっくり聞いてもらうように吹くことが多いですね」
いっぽう鈴木さんは、
「フランス音楽が水彩や油彩など絵画を描いているような印象だとすると、ドイツ音楽は“お城を建てている”ようなイメージ」
とユニークな解釈を披露。
「だんだん積み上げて最後にたどり着く印象で、派手ではないんだけど、全体で見るとすごいものができあがったな、と感じることが多いです」

 

 

ドイツ音楽といえば、有名なのはベートーベン。
「ベートーベンはクラリネットが好きだったようで、オーケストラ曲でも活躍するんです」
そう話して亀井さんが演奏したのは、「交響曲第五番」冒頭の有名なフレーズ。
「この始まりの部分ね、クラリネットと弦楽器だけなんです。

曲の出だしなので一緒に始めないといけないんですが、弦楽器パートとクラリネットは場所が離れているのでドキドキするんですよ」
と苦笑い。

 

 

続いてはヒンデミートの「クラリネットとピアノのためのソナタ」。
ピアノの不思議な和声と流れるようなクラリネットが絶妙に重なったり、息の合った和声を軽快に聴かせたり低音の魅力を堪能させたりと、4楽章にわたってさまざまなハーモニーを楽しませてくれました。

 

 

第二部の冒頭は鈴木さんが一人で登場。
楽しそうに弾き始めたのは、「きらきら星」の変奏曲です。

 

最初のゆったりシンプルなメロディーから、和声や調性、テンポが次々に変化していくさまは、なんとも華やか。

楽しそうに演奏する鈴木さんの表情が印象的で、ピアノが持つ音の豊かさを堪能できる一曲でした。

 

演奏後、拍手をしながら登場した亀井さんも
「オーケストラを聴いているみたいでした」
と楽しんだ様子。

 

続いて二人で演奏したのは「クラリネット奏者が避けては通れない」というウェーバーの曲です。
「クラリネットの名曲を遺した作曲家のそばには、必ず名奏者の存在があったそうです。

当時のクラリネットは今の形と違っていたのですが、ウェーバーの曲を演奏するために、この奏者によって楽器の改良が進みました」
と亀井さん。

 

演奏したのは「協奏的大二重奏曲 作品48」。

二人のコンビネーションに引き込まれる第1楽章、憂いを帯びて歌うようなクラリネットの音色が印象的な第2楽章と展開し、明るく華やかな第3楽章でプログラムの最後を飾りました。

 

 

鳴り止まぬ拍手に応えたアンコールは3曲を演奏。

これまで学校や公民館で披露した曲も盛り込み、ビゼー作曲「だんだん小さく」(カルメンVer.)では、亀井さんが客席に降りて目の前で演奏を披露。

思わぬサプライズに、お客様も驚きと喜びの表情を浮かべていました。

 

 

終演後、お客様からは
「素晴らしかった。楽器が2つだけなのに、いくつもあるように感じました」
「音楽の知識は少ないのですが、とても楽しく聴くことができました」
との声が。

 


ピアノとクラリネットのデュオという珍しい編成で、まさに名前の通り響き合う音の豊かさを楽しませてくれました。