サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館) おかげさまでサントミューゼは10周年

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【レポート】名古屋フィルメンバーによるコンサート

みる・きく
会場
サントミューゼ

11月開催・名古屋フィルハーモニー交響楽団上田公演関連企画
「名フィルメンバーによるコンサート」
パーカッション・窪田健志(くぼた たけし)さん
オーボエ・_竹生桃(たけふ もも)さん
2016年10月27日(木) 開演19:00
城南公民館 1階 大ホール
11月24日(土)、「サントミューゼ提携オーケストラシリーズVol.4 名古屋フィルハーモニー交響楽団上田公演」が行われます。

この公演に先駆けた関連プログラムとして、メンバーの窪田健志さんと竹生桃さんのお二人によるコンサートが城南公民館で開催されました。

 


プログラム
C.O.マッサー:マリンバのためのエチュード(マリンバソロ)
• M.シュミット:ガーナイア(マリンバソロ)
• J.S.バッハ:G線上のアリア(マリンバとオーボエ)
• J.S.バッハ:チェロ組曲第1番より、Prelude, Menuett 1,2(マリンバソロ)
• J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ(マリンバとオーボエ)
• E.ノヴォトニー:A Minute of News(小太鼓ソロ)
• N. ロータ:映画「ロミオとジュリエット」より(マリンバとオーボエ)
• 山川あをい:UTA Ⅸ for marimba and oboe (マリンバとオーボエ)


今夜のコンサートは、マリンバをメインとしたパーカッションとオーボエという編成。

 

パーカッションの窪田健志さんが上田高校の卒業生ということもあってか、会場には上田高校や小諸高校の吹奏楽班員の姿も多数。
最初は窪田さんお一人で登場し、短いソロ曲「マリンバのためのエチュード_」でスタートしました。

 

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弾むような楽しい曲ですが、マリンバ特有の温もりある響きが心地よく、引き込まれます。
現在、名古屋フィルハーモニー交響楽団で打楽器首席奏者である窪田さん。

小太鼓や大太鼓、ティンパニ、シンバルなど、曲によってあらゆる打楽器を演奏するパートですが、一番多く使うのがマリンバなのだそう。
「マリンバは、いわば大きな木琴のような楽器です。木の鍵盤の下に金属の共鳴管があり、管を蓋でふさぐことで響きを増幅させています」

マリンバはマレットと呼ばれるバチで演奏しますが、鍵盤に当たる部分の素材(綿や毛糸)によって音が変わり、曲や演奏箇所によってマレットを持ち変えます。

 

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窪田さんは多くの曲で片手に2本ずつ、計4本のマレットを使って演奏。

 

1本だけで単音を出したり、4本同時に激しく叩いたりと巧みに使い分けながら、奥行きある音色を生み出します。
2曲目の「ガーナイア」は、手を交差させたり左右の音が追いかけっこのように呼応したりと、目でも楽しませてくれました。

3曲目で、オーボエの竹生桃さんが登場。
「オーケストラでは竹生さんの管楽器も僕の打楽器も位置が後ろの方なので、今日のように最前列に立つなんてことはまずないんです」と窪田さん。

 

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二人で最初に演奏したのは、通常弦楽器で演奏されることが多い「G線上のアリア」。

先ほどまでの弾んだ調子のソロとは違う優しい雰囲気のマリンバと感情豊かなオーボエの音が重なって空気に溶けていくようで、みなさん静かに聴き入っていました。

 

続く「チェロ組曲第1番よりPrelude, Menuett 1,2」はマリンバのソロ。

元はチェロのために作られた曲ですが、マリンバでの演奏は一音一音の存在感が増し、より温かみが増したような印象です。

 

続いてオーボエと一緒に披露したのは「主よ、人の望みの喜びよ」。

冬の始まりにふさわしい温かな音色で、マリンバとオーボエが持つ木の楽器ゆえの深い響きに魅了されます。

 

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独自に打楽器演奏会を行っている窪田さん。

この日も小太鼓のソロ曲を披露したり、ユニークな音が出る創作打楽器を紹介してくれたりと、パーカッションの面白さを教えてくれる一幕もありました。

「この曲を演奏したくて、この編成にしました」と紹介した「UTA Ⅸ for marimba and oboe」は、マリンバとオーボエのための曲。

柔らかで重厚な響き、そして二つの音で世界を作り上げる一体感に、今日一番の拍手が起こりました。
アンコールはボサノヴァの「イパネマの娘」。楽しい雰囲気の中、お二人の笑顔と共にコンサートは幕を閉じました。

 

 

終演後、マリンバのまわりには多くの人が集まって楽器を興味深く眺めたり、写真を撮ったり。

さらに「話を聞きたい!」と集まってきた高校の吹奏楽班員のみなさんに、窪田さんが高校時代の思い出やおすすめの練習曲などをフランクに話すシーンも。

 

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終演後にも関わらず目の前で1曲披露してくれるなど、普段のコンサートにはないような温かなやりとりが生まれていました。