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【レポート】アナリーゼワークショップVol.22 大友直人

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サントミューゼ

アナリーゼ(楽曲解析)ワークショップVol.22 群馬交響楽団名曲コンサート関連プログラム
お話:大友直人(群馬交響楽団音楽監督、指揮者)
1月10日(水) 19:00~ at サントミューゼ小ホール

 

1月13日に大ホールで行われる「群馬交響楽団名曲コンサート」に先がけ、同楽団の音楽監督であり指揮者の大友直人さんによる各楽曲のアナリーゼワークショップが行われました。

 

コンサートのプログラムは以下の通り。誰もが一度は耳にしたことのある名曲揃いです。
・ロッシーニ/歌劇《セヴィリアの理髪師》序曲
・チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
・ドヴォルジャーク/交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」

 

3作品が生まれた背景や逸話について、大友さんは柔らかな語り口で楽しそうに解説してくれました。

 

 

たとえばロッシーニが活躍した時代は19世紀初頭。

当時のオペラはショービジネスの一つであり、人気作品はさまざまな会場で上演されていました。

しかし会場ごとオーケストラの人数が違うため、一つの楽曲に対して何通りもの楽譜が作られたそう。

今も残るそれらの楽譜から、どれを演奏するか指揮者が決めるのだと大友さんは話してくれました。

 

「当時は、現代よりも小さな編成のオーケストラが主流でした。

13日の群馬交響楽団のコンサートは、ロッシーニの初演時よりも大きなオーケストラで演奏しますのでお楽しみに」

 

さらに「音楽を通して世界の歴史や地理、言語などにも興味が広がっていくのは素晴らしいこと」と大友さん。

国に注目してみると、ヨーロッパが音楽の中心だった19世紀当時にあって、ロシアで素晴らしいオーケストラを多数生み出したのがチャイコフスキーです。

 

 

「国内には“ロシアらしさ”を追求した作曲家もいましたが、彼は独自のスタイルを確立しました。

なかでもヴァイオリン協奏曲は名曲。

さまざまな作曲家がヴァイオリン協奏曲を作りましたが、現在も繰り返し演奏されるのがチャイコフスキーの曲です」

 

 

 

ドヴォルジャークもまた、ヨーロッパの中でもチェコというやや外れた地に生まれ育った作曲家でした。

彼はブラームスに見出されたことで、華々しいキャリアをスタートさせます。

 

「「新世界より(From the new world)」は、彼がニューヨークの音楽大学に招かれていた時に書いた曲です。

当時のアメリカは、ヨーロッパから見ると“新世界”だったのですね」

 

ここでスライドに映し出されたのは、大友さんが学生時代からずっと使い続けているという「新世界より」のポケットスコア。

実際に曲を聴きながら大友さんが譜面を指で追い、曲の構成や見所を解説してくれました。

 

 

指揮者ならではの視点を生かしたのが、楽曲のさまざまなスポットで活躍する楽器の解説です。

たとえば日本では「家路」という曲で有名な第二楽章のメロディー。

意外に知られていませんが、イングリッシュホルンというオーボエに似た楽器が演奏しています。

オーケストラでは、オーボエの二番奏者がイングリッシュホルンに持ち替えるか、イングリッシュホルン専門の奏者がスタンバイするかのいずれかの方法がとられるそう。

 

「オーボエ奏者(イングリッシュホルン奏者)は指揮者越しに右側、フルートの隣にいます。

13日のコンサートで覚えていたら注目してみてください」

 

さらに
「第二楽章の最後は、珍しいコントラバス四重奏。

舞台の一番端にいるコントラバス奏者は、この瞬間とても緊張していると思いますよ」

 


とも話し、オーケストラの各奏者にフューチャーした楽しみ方を提案してくれました。

さまざまな角度から魅力を解説してくれた3作品が演奏される「群馬交響楽団 名曲コンサート」は、1月13日(土)15時より大ホールで開演です。

ぜひお越しください。