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【レポート】ロマン派症候群 事業発表

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作・演出 内藤裕敬(南河内万座一座・座長)×音楽監修・ピアノ演奏 仲道郁代×「サントミューゼ」館長 津村卓

 

 

平成28年1月にサントミューゼで上演した、演劇とクラシック音楽のコラボレーションによるリーディング劇「ロマン派症候群」。

 

生きた時代も場所も違うロマン派音楽家、ショパンとブラームスが偶然出会う奇想天外なストーリーを通して、二人の人物像や思いを浮かび上がらせる作品です。
あれから1年あまりの時を経て、本作の改訂・再演が決定。今年9月1日(金)、2日(土)のサントミューゼでの上演を皮切りに、全国7カ所で公演を行います。

 

 

プロジェクト始動にあたり、作・演出を手がける内藤裕敬さんと、音楽監修と

ピアノ演奏を行うピアニスト・仲道郁代さんをお招きしてサントミューゼで記者会見を開催。

津村館長が聞き手となり、思い入れと意気込みをうかがいました。

 

会見が行われたのは小ホールのステージ上。

前回公演で使われた物干し竿と窓のセットが組まれ、さらに取材記者の方々も壇上に上がるユニークな試みです。

同じくセットで使われたドアから3人が登場し、一風変わった記者会見がスタートしました。

 

 

津村館長:
「今回はよくある再演ではなく、改訂再演ですね。どこに一番力を入れていきますか?」

 

内藤さん:
「クラシック音楽と芝居がシンクロしながら新しい世界観を作っていくって、すごく難しい。有効な言葉というものを、選んでいかなくてはいけないんです。

初演を見ると『ここでもっと踏み込んだ言葉がほしかった』『この言葉にたどり着くまでを、もう少し丁寧に作らないとダメだ』ということが見えてくる。今回新しく書き足すということでなく、完成度を上げるというところかな」

 

津村館長:
「音楽家は“言葉”との戦いになると思うんですけれども、意気込みはいかがですか」

 

仲道さん:
「この作品の素晴らしさは、言葉が音楽を説明するでもなく、でも言葉によってイマジネーションが広がりを持つこと。演奏家である私たちもインスパイアされて、演奏がどんどん変わっていくんですね。そこが面白い。
舞台は生なので、俳優さんたちのちょっとした言い方とか空気感で、こちらの演奏も変わってくる。予定調和ではあり得ない可能性を追求できることが、私にとって一番の醍醐味です」

 

 

 

本作のテーマはショパンとブラームス、二人の世界観。

同じ病院に二人が入院しているという風変わりな設定で、お互い『自分の体のどこが悪いのか分からない』というところから始まり、病院を抜け出して旅に出る……

というストーリーです。

 

津村館長:
「二人の偉大な作曲家が“変な奴”という設定になっていますが、音楽家の仲道さんとしてはどうですか?(笑)」

 

仲道さん:
「作曲家って神様みたいに崇められてますけど、やっぱり悩みがあって苦しいから曲を書いたわけで。

人間的なものから生まれてきたものが、私たちを感動させてくれるんです」

 

そして話題は、会見の場にある舞台セットの「物干し竿」へ。

津村館長:
「クラシック音楽の演奏会では、この状況は絶対にありえないでしょう」

 

 

 

仲道さん:
「はい(笑)。でもショパンだってブラームスだってきちんと生活して、洗濯物とかそういったものに何かを思って曲を書いている。

そこに立ち返ると、自分自身の生活とか過去、経験とリンクしてきて、そう思って聴いた時の音の説得力や染み入り方は、本当にすごいと思うんです」

 

津村館長:
「平面的にブラームスとショパン、またはクラシック音楽を説明しているわけではなくて、人間力や人間臭さ、いろんなものを踏まえて一つの公演を作っている感じでしょうか」

 

仲道さん:
「そう、そして聴く方の知識や固定概念を全部振り払って、音楽の本質にいかにスポンと入ってきて頂けるかという、壮大な試みですよね」

 

内藤さん:
「僕は常々、クラシック音楽の発表のしかたは発展しなくていいのか、と思っていて。

方法が変わることで楽曲を違う角度から聴くことができて、新しいイメージで曲の世界観を捉えられる。

そんな試みをしないと、クラシックが持つ本当の魅力が浮き上がって来ない気がするんですよね。

だから、難しい作業なんですが、音楽に言葉を介在させる。

うまくいけば、お互いに新しい面を引き出してくれると思っています」

 

 

 

 

公演は9月。

前回とはまた違う、演劇とクラシック音楽が織りなす新鮮で不思議な世界に出会えることでしょう。

ご期待ください。