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【レポート】アナリーゼワークショップ vol.23~川瀬賢太郎(指揮者)~

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アナリーゼ(楽曲解析)ワークショップ Vol.23 名古屋フィルハーモニー交響楽団「名曲コンサート」関連プログラム

お話:川瀬賢太郎(指揮者)

6月18日(月) 19:00~ at 小ホール

 

7月7日(土)、大ホールで行われる名古屋フィルハーモニー交響楽団の名曲コンサート。ピアノ協奏曲第5番「皇帝」と交響曲第3番「英雄」が演奏されます。公演に先駆けて、指揮者を務める川瀬賢太郎さんが「英雄」について解説するアナリーゼワークショップが行われました。

 

 

登場した川瀬さんは、「お客様も、私たち演奏者と一緒に音楽会を作りあげる仲間です。そんな皆さんに、今日はさまざまなことを問いかけたいと思います」と語りかけました。

 

「英雄」の魅力を紐解くため、まずスクリーンに映し出されたのは、この曲よりも先に作られた交響曲第1番と第2番の楽譜。第1番はハ長調にもかかわらずへ長調の和音で始まり、第2番は冒頭からff(フォルテッシモ/とても強く)で始まる構成と、いずれも当時の人々を驚かせたのだそう。 「続く第3番『英雄』も、さぞ変わった曲だろうと人々は注目しました。けれど変ホ長調のこの曲は変ホ長調のハーモニーで始まり、最初の演奏記号もフォルテと、いわば“普通”の曲だった。けれど、非常に斬新な部分もあるんです」

 

 

実際に「英雄」第1楽章を聴いてみました。この曲のリズムは3拍子。通常、3拍子の曲は1拍目にアクセントを置きますが、「英雄」はアクセントの位置が絶え間なく移り変わる不安定なリズムです。「指揮を振るのがとても難しい曲です。人間の心臓の鼓動ともズレるから、深く訴えかけるものがあります」と川瀬さん。

 

さらに第1楽章には、当時ほとんど使われなかった演奏記号「ppp(ピアノピアニッシモ/ごくごく弱く)」が登場します。しかも、わずか4小節の中でf(フォルテ/強く)、ff(フォルテッシモ)と変化していきます。これは「心臓発作を起こしてしまうほど激しい変化」なのだそう。

 

そして「葬送行進曲」と名付けられた第2楽章。コントラバスパートの不規則な音形により、行進曲にもかかわらず歩きにくそうなリズムは少し不思議な印象です。川瀬さんは「棺を担いで歩く仕草」を再現して見せ、「重い棺を持って歩くから一歩一歩が鈍く重い、という表現なのかもしれません」。

 

 

さらに聴いていくと、途中で長調に転調します。葬送行進曲が明るい調に変わるのは少し意外。川瀬さんは「僕の妄想ですが」と前置きしつつ、「生きているときの楽しかった思い出が蘇った場面ではないでしょうか」と語り、作曲家のイメージに思いを巡らす楽しさを教えてくれました。

 

こうした想像は指揮者である川瀬さん自身、日々行なっていること。例えば指揮を振るにあたり、「ベートーヴェンが指す“英雄”とはどんなものだろうか」と考えることから、イメージを作り上げていくと話してくれました。

 

第4楽章は、英雄という言葉のイメージに反した軽やかな曲。こうして聴くと、まるで一人の人間のようにさまざまな表情を持つ曲であることが分かります。

 

「この曲はこういう印象のもの、という正解はありません。同じ音を聴いて、赤と感じる人も青と感じる人もいます。一人ひとりがこれまでの人生で得た言葉を使って、自由に表現すればいい。だからこそ、クラシック音楽は自由なのです」と、コンサートの楽しさを話していただきました。

 


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