• 劇場・ホール
  • 美術館
  • 体験事業
  • 施設利用のご案内
  • about us
  • HOME
  • 体験事業
  • 【レポート】gone girl 村上早展 アーティストトーク

【レポート】gone girl 村上早展 アーティストトーク

観る

gone girl 村上早展 アーティストトーク

2019年1月19日(土)14:00~15:00 at上田市立美術館 企画展示室

 

今、アジアで最も注目されるアーティストの一人である銅版画家、村上早さん。

上田市立美術館では、1月12日(土)から企画展「gone girl 村上早展」を開催中です。

 

1月19日(土)には、作家自ら展示室で作品を解説するアーティストトークを開催しました。

村上さんの話を直接聞くことができる機会ということで、さまざまな世代のお客様にご参加いただきました。

 

 

 

作品を1点ずつ解説する村上さん。

この《ふるえ》という作品は、村上さんの小学生の頃の記憶などがモチーフになっています。

 

 《ふるえ》2015年

 

 

避難訓練で机の下に隠れたことや、小学生特有の「この線からはみ出したら死ぬ」という謎のルール、神社の鳥居は結界になっていて、その中は神様に守られているという教えなど、作品のモチーフになったエピソードを聞きながら観賞することで、参加者はより「村上早ワールド」を体感することができます。

 

また、最初の部屋の床には、村上さんがリフトグランドエッチング(ポスターカラーで描いた線をそのまま腐蝕させる技法)で描画した銅版が置いてあります。

 

「ぜひ、この銅版の上を歩いてみてください」と村上さんは言います。

 

「この銅版は展覧会が終わってから作品に使用する予定のものです。

銅版画というのは、版に傷をつけて描き出す技法です。展覧会中にたくさんの方に踏まれてついた傷が、どんな風に作品に影響するのか、どんな作品になるのか楽しみです」

 

その村上さんの言葉を聞いて、皆さん恐る恐る足を踏み入れます。

この銅版は、会期中ずっと展示室の床に設置してあるので、是非皆さんも歩いてみてください。

 

 

今回の展覧会は、大型作品41点、小品107点で構成されています。

村上さんの大型作品と呼ばれるものは、ほとんどが縦横100cmを超えるのですが、村上作品の特徴の一つとして、その「大きさ」が挙げられます。

「銅版画」と聞くと、小さい作品を思い浮かべる方も多いと思います。

銅版画の工程上、大きな作品では作業が大変になることや、銅版が高価ということもあり、お金や労力、時間がかかるなどの要因から比較的小さな作品が多くなるのです。

 

 

 

村上さんの作品では、銅版を複数枚組み合わせてひとつの作品をつくりだしています。

2017年に開催された「群馬青年ビエンナーレ」で優秀賞を受賞した《すべての火》《ながれ》は、試行錯誤を積み重ね約半年をかけて200×250cmという大作に仕上げたそうです(この作品に使った銅板はなんと20枚!)。

迫力の大画面で描き出される独特な世界観に、参加者はくぎ付けになります。

 

 

 

本展のメインビジュアルにもなっている《かくす》という作品を解説する村上さん。

 

 《かくす》2016年

 

「この女の子は羽が欲しくて、鳥から奪ってしまったのをブルーシートで隠したんです」

 

一見すると鮮やかな水色に目がいくのですが、その下に隠れている鳥の足を見つけて「わっ」と声を漏らす参加者。

 

「ブルーシートは日本では“隠す”ことの象徴。このブルーシートを描きたくてインクを探して、この作品ではじめて色版(水色)を刷りました」

 

 

 

2016年に制作された《かくす》以降、作品に色を取り入れるようになった村上さん。

近年の赤いインクで緞帳が描かれた作品も素敵です。

 

 

 

また、順路の最後には、小品が壁いっぱいに展示されています。

この小品は、村上さんが版画制作を始めた初期の2012年から昨年に制作された新しい作品まで、様々なモチーフが組み合わされています。

 

村上さんがおっしゃるには、大学3年生の前半(2013年)までは絵柄が定まらず、自分の表現を模索してたくさん悩んだそうなのですが、この小品ではそういった村上さんの成長段階の過程が垣間見える、大型作品とはまた違った魅力があります。

 

お客様の中には、「私のお気に入りの1枚」をお互いに見つけ合う楽しみ方をしておられる方もいらっしゃいました。

 

トークの最後には、「今日は1点ずつ自分のエピソードを話しましたが、好きな観方をして、好きに感じてほしいです」と話す村上さん。

静かな展示室で、村上さんの作品とじっくり対話してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

トーク終了後にミュージアムショップの入り口ではサイン会が行われ、一人ひとりの顔を見て言葉を交わす村上さん。

「これからもずっと応援しています」という声に、サインを書く手を止めてはにかんだような笑顔で答えていました。

 

作家本人の解説を聞けるという事で、多くの方にお越しいただいたアーティストトークとサイン会ですが、ご好評につき3月10日(日)に追加開催することが決定しました!

まだ展覧会にお越しになっていない方も、2回目の方も、この機会に是非ご参加ください。

詳細はコチラ