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【レポート】生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会

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生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会

2020年1月11日(土)15:00開演 at 大ホール

 

サントミューゼで3回目を迎えた「“のだめカンタービレ”の音楽会」。

クラシック音楽をテーマにした人気漫画「のだめカンタービレ」の世界を、作品に登場する楽曲の生演奏と分かりやすい解説と共にお届けします。

 

企画と指揮は、原作の取材協力やドラマ・映画の演奏演技指導を手がけた茂木大輔さん。

管弦楽は群馬交響楽団、ピアノはサントミューゼで昨年9月に開催した「“生で聴く『のだめカンタービレ』の音楽会” ピアノ版」にも出演した三浦友理枝さんの演奏です。

 

前半はフランスの作曲家ラヴェルにスポットを当てたプログラムです。オープニングは「ラ・ヴァルス」。

戦争や母の死を経験したラヴェルの思いを表す不穏な音色から始まり、怒涛の展開を経て爆発的なクライマックスへと至ります。

 

 

「“のだめカンタービレ”の音楽会」では、演奏中に楽章名や楽曲解説、マンガの関連シーンなどがステージ上のスクリーンに映し出され、さまざまな角度から音楽を楽しめます。

オープニング曲では、群馬交響楽団の団員紹介が写し出されました。ハープが主旋律を弾く部分ではハープ奏者の名前、曲が進むごとにオーボエ奏者、打楽器奏者……といった具合に、各部分で活躍する楽器と団員を紹介。

「この音はあの楽器なのか」「この楽器の奏者はあの辺りにいるんだ」と知ることで、オーケストラを一段と楽しめます。

 

 

演奏後に挨拶した茂木さんは漫画との出会いを振り返り、

「この作品が人気を集めているのは、クラシック音楽の演奏者としてとても嬉しいです。音楽家を非常に誠実に取材したうえで、人間ドラマを描いてくれています」

と話しました。

 

「亡き王女のためのパヴァーヌ」はハープやホルンを独創的に用い、幻想的な音楽世界を織りなす曲。

中でもホルンのソロは素晴らしく、「甘く柔らかな音色で、ここにホルンを選ぶのがラヴェルのすごいところ」と茂木さん。

スクリーンでは漫画での各楽器の演奏シーンやラヴェルの生い立ちが紹介されました。

 

 

「ピアノ協奏曲 ト長調」ではピアニストの三浦さんが登場。

過去にラヴェルのピアノ作品全曲を暗譜し演奏するコンサートをやり遂げた三浦さんを、茂木さんは「日本を代表するラヴェル専門家」と紹介しました。

 

 

ムチの音を出す楽器「スラップスティック」の印象的な音色で始まるこの曲。

スクリーンに映ったマンガの主人公のだめが、その音を「パーン!」と口で再現しピアノを弾き始めるシーンと連動して演奏が始まりました。

 

 

第1楽章はジャズの要素もあり、リズミカルでユーモラス。聴いていてわくわくしてきます。

美しいピアノソロから始まる第2楽章では、憧れの先輩・千秋とこの曲で共演したいと願いつつ叶わなかった「のだめ」の切なさと強さを描いたシーンが登場。

続く第3楽章もジャジーで疾走感のあるリズムです。

 

どの楽器にも「見せ場」があるこの曲。

三浦さんは「ソリスト以外のみんなも汗を飛ばして頑張る、そこがこの曲の好きなところです」と笑顔で話しました。

 

ここで前半が終了。

休憩時間のホワイエは、関連CDを買い求める人や「のだめ」シリーズでおなじみのマングースの着ぐるみとの記念撮影を楽しむ人でにぎわいました。

 

後半は、今年生誕250周年を迎えるベートーヴェンの特集です。

茂木さんが客席に「ベートーヴェンが生涯で交響曲をいくつ作ったか、ご存知ではない方いますか?」と尋ねるとたくさんの手が挙がりました。

 

 

「みんなが知っている『第九』が彼の最後の交響曲です。今回は、9つの交響曲の最初の1分ずつを連続して聴いていただく『インチピット』を演奏します。

最初の1分に彼が込めたもの、27年間で彼が進歩した歴史を味わってみてください」

 

演奏前、客席を振り返って指で「1」と示してくれた茂木さん。「交響曲第一番」から演奏が始まります。

30歳のベートーヴェンが初めて書いた交響曲は「ユーモラスな和音、幅広い簡素な旋律と共に始まっている」と解説。

第二番は「9曲の中で最も美しい楽章と言われる」第2楽章の冒頭を。第三番「英雄」、「地球上で最も有名な交響曲」の第五番「運命」などの有名曲も登場しました。

第七番に比べ評価が低かったとされる第八番は、「明快な中に繊細な工夫があり、工芸品のよう」と解説されました。

 

冒頭部分のみながらも個性豊かな9曲を通じて、ベートーヴェンの人生観やスランプ、彼を取り巻く世界の変化も伝わってきます。

最後の第九番は、音楽を通して「人はみな兄弟である」という思いを描いた彼の理想の世界が広がります。

歴史上初めて独唱と合唱からなる声楽を導入したフィナーレは、まさに圧巻でした。

 

最後は「交響曲第七番 イ長調 Op.92」全4楽章をフル演奏。

英雄の訪れと勝利が描かれる第1楽章、一転して戦争と政治の不自由さを暗示し葬送行進曲として用いられる第2楽章。葬列が終わり祝宴が描かれる第3楽章では、マンガに登場する指揮者と茂木さんの姿が重なって感じられるようでした。

そして「祝祭的で爆発的」と解説のあった第4楽章。心地よい高揚感が興奮と感動を誘います。

演奏後の会場は、大きな拍手で包まれました。

 

 

 

コンサート全体を通じて、演奏と並行してどの楽器がどのように使われているのか、スクリーンに詳しい解説が映し出されます。

例えば、「展開部、ティンパニは最高音域のE(ミ)」の文章と共にティンパニ奏者の名前が表示されるので、各楽器や奏者に対して曲に合わせて注目することができます。

茂木さんの指揮に合わせて豊かな世界を描き出す奏者の姿は、オーケストラの奥深さ、楽しさを教えてくれます。

演奏後は鳴り止まぬ拍手の中、茂木さんが楽器ごとに奏者を紹介しました。

 

 

アンコールは「ラデツキー行進曲」。勇ましいリズムに合わせ、会場全体に自然と手拍子が湧き起こります。

スクリーンには「みなさん、よい2020年をお過ごしください!」と茂木さんのメッセージ。

オーケストラの練習風景やオフショットも映し出され、最高の一体感の中でコンサートは幕を閉じました。

 

 

終演後、茂木さんと三浦さんのサイン会には、子どもから大人まで多くの人が参加しました。

サインしながら、みなさんと笑顔で言葉を交わすお二人。「今度は私の街に来てください」と言われたら「行きましょう!」と答えたり、「今度はあの曲を聴きたいです」との声に「やってみたいね」と返したり、持参した楽譜にサインしたり。

親しみある人柄に触れるひとときでした。

 

 

 

 

 

 

 

【プログラム】

〈第1部〉パリののだめと千秋

ラヴェル:ラ・ヴァルス

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調(ピアノ:三浦友理枝)

〈第2部〉ベートーヴェン・イヤー2020

【生誕250周年特別企画】

ベートーヴェン・ワンダーランド(インチピット)

ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92

第1楽章 ポコ・ソステヌートーヴィヴァーチェ

第2楽章 アレグレット

第3楽章 プレスト、アッサイ・メノ・プレスト

第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ

 

〈アンコール〉

ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲


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