サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館) おかげさまでサントミューゼは10周年

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【レポート】平成30年度事業発表~特別対談

つながる

2018年4月12日(木) at 大スタジオ

 

平成30年度上田市交流文化芸術センター・市立美術館事業発表

対談「うえだと、まちと、芸術と」

荒井洋文(シアター &アーツうえだ「犀の角」代表)×津村卓(サントミューゼ館長 兼 チーフプロデューサー)

 

 

4月12日、サントミューゼでは今年度の事業発表会を開催。

会場には多くの報道陣が訪れました。

 

まず、「音楽事業」「演劇・ダンス事業」「美術館事業」など、これまでの実績と今年度の事業予定を発表しました。

 

 

平成26年の開館以来、事業の根幹と位置づけている「芸術家ふれあい事業」の一つ、小学校のクラスコンサートはこれまで市内25校で計154回実施しています。現在の市内の小学校6年生から中学校3年生までの児童・生徒のほぼ全員が、このクラスコンサートを体験していることになります。

 

その他、「地域ふれあいコンサート」や定住自立圏との連携事業などを紹介。また、演劇・ダンス事業においては、開館年度より継続している「高校生が創る実験的演劇工房」、市民参加公演のほか、地域とアートをつなぐ文化リーダー育成を目的にワークショップや講座などを行う「うえだアーツスタッフアカデミー」についても説明し、美術館事業では展覧会などの鑑賞事業のほか、子どもアトリエ事業などを紹介しました。

 

 

記者発表の後半は、シアター &アーツうえだ「犀の角」代表の荒井洋文さんと津村館長による対談がスタート。

昨年発行の当館機関誌「SANPOMYUZE vol.5」でも街とアートをテーマに対談した二人が、改めて「上田とアート」を語り合いました。

 

 

冒頭、サントミューゼのミッションを「豊かな街を作っていくこと、そして人々が交流する場をつくること」と語った津村館長。

 

「ポイントは、上田の子どもたちが創造的で魅力ある大人に育つための育成です。そして若い人たちが“上田にいたら何か見つかるかもしれない”と感じ、大人は“上田に住んでいて良かった”と思えること。そんな多様性のある街を目指して文化芸術で力になりたいと、開館以来進んできました」(津村館長)

 

荒井さんは「子どもたちの育成事業は公共事業でしかなし得ないこと」と話し、

「サントミューゼが素晴らしいのは、現在活躍しているアーティストを選んで招いていること。これが10年、20年と続けば、上田の子どもたちの感性の広がりや成長は、まったく違うものになるのではないでしょうか」

 

 

と語りました。

 

人々の価値観が「モノから心へ」にシフトした現在、さまざまな意味で「デザイン」の重要性が増し、文化芸術がいかに力を果たす存在か多くの人が感じています。

そして「震災などの災害を機に、人との絆をつなぐために文化芸術が大切であると、改めて発見された時代なのでは」と津村館長。

 

上田は歴史的に見ても、「面白い人が集まってくる街」だったようで、

「大正時代から、映画の街として多くの映画監督が訪れましたし、さかのぼると“信州の学海”と呼ばれた時代もあり、最先端の思想を学ぶお坊さんたちが別所のあたりに集まっていた話もあります。何かパワーがある、思想を持った人やアーティストが上田に来て何かをして去っていく、という流れが古くからあったようです」(荒井さん)

 

そうした歴史を踏まえると、昔からアーティストに触れてきた上田で「芸術家ふれあい事業」を行うことは必然的なのかもしれない、と津村館長。

 

津村館長が荒井さんに「サントミューゼがもっとこうしたら良いのでは、と思うことは何ですか?」と尋ねると、

「サントミューゼに期待するのは、芸術文化の価値を上田に定着させること。文化芸術をきちんと伝え、社会にとって芸術が必要であるということを証明することが必要だと思います。

僕らが民間の立場で、街の中ですることには別の意義があります。演劇や音楽に限らず、居場所がなくて困っている人にきてほしいし、表現したい人を発掘したり、他の劇場と連携して面白い原石のような人を上田に紹介する、そういうことが役割かなと思っています」(荒井さん)

 

 

津村館長もそれを受け、

「劇場や美術館は、居場所がない人や生きていくのが苦しい人が最後に駆け込める場所でありたい。そのためにどうやって広く門を開けておくかが、サントミューゼの一つの課題だと思います。音楽を聴いて元気に生きていこうと感じたり、芝居を見て勇気をもらえたら。そんなことが、いつもここで行われているということが重要です。それは「犀の角」も同じ。芸術を運営する拠点が街の中にどのように点在するかということが、大切なのだろうと思っています」(津村館長)

 

 

「若い人が“上田にいたら何か面白いことができそうだ”と感じたり、東京の人が“上田に来たい” “上田って面白い街だね”と言ってくれる。そう言った空気が、実は新しいクリエイティブ産業を作る起点なんです」(津村館長)

 

 

 

アートで街は変わる―

そんな芸術の力を、これからも届けていきたいと思います。

 

対談のダイジェスト動画も公開中!

サントミューゼのYouTube Channelからご覧いただけます。

コチラ