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【レポート】上田地域定住自立圏連携事業 澤菜穂子&三浦友理枝コンサート

みる・きく
会場
サントミューゼ

上田地域定住自立圏連携事業

澤菜穂子&三浦友理枝コンサートin坂城町

 

2018年4月11日(水)19:00開演 at 坂城町文化センター大会議室

 

プログラム

ヴィターリ:シャコンヌ

モーツァルト:ピアノソナタ第8番KV.310 ニ短調より(ピアノソロ)

第1楽章 アレグロ・マエストーソ

第2楽章 アンダンテ・カンタービレ・コン・エスプレッシオーネ

第3楽章 プレスト

武満徹:妖精の距離

ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト短調

第1楽章 アレグロ・ヴィーヴォ

第2楽章 間奏曲 ファンタスク・エ・レジェ

第3楽章 終曲 トレス・アニメ

アンコール

アイルランド民謡:ロンドンデリーの歌

 

上田地域が連携して行政サービスの提供や事業実施に取り組んでいる「上田地域定住自立圏連携事業」の一環で開かれたヴァイオリニストの澤菜穂子さん、ピアニストの三浦友理枝さんによるコンサート。今回は初めて坂城町で開かれました。会場となる坂城町文化センター大会議室は、大きな丸窓がいくつもあり、室内の四角い直角なラインと丸いラインが魅力的な会場でした。

1曲目は、ヴァイオリンの音色が歌うように美しいメロディーが印象的な、ヴィターリの「シャコンヌ」。終始三拍子の落ち着いたリズムと伸びやかな旋律が印象的な演奏に、終わると同時に大きな拍手が寄せられました。

 

 

2曲目には三浦さんによるピアノのソロで「モーツァルト:ピアノソナタ第8番KV.310 」を演奏。「個人でもとても活躍されているピアニストなので、この機会にぜひ皆さんにその魅力を知っていただけたら」と澤さんが紹介。当日に配布されたプログラムには第1章のみを演奏と書かれていましたが、せっかくだからと全曲を披露してくれました。1楽章はベートーヴェンにも通じるような力強い音を響かせ、2楽章では春に合うようなゆったりとしたリズムがあり、3楽章ではガラっとまた雰囲気が異なり、何か不安に駆られるようなミステリアスな雰囲気を思わせました。

 

 

3曲目には「長野県に縁がある曲を」と作曲家の武満徹の「妖精の距離」をセレクト。「妖精の一般的なイメージは、背中に羽を背負い、ファンタジー性がある愛らしいものを思い浮かべますが、この曲の場合はどちらかと言うと日本語の『妖精』の感じを表していると感じます。つまり、「妖しい」精なんです。可愛らしいよりは妖艶さがあって、そこに日本らしさを感じて、私たちもその雰囲気を表現しています」と澤さん。妖精があちらこちらへと飛んでいるような、浮遊感があるヴァイオリンと、和音が美しいピアノ。「途中でフラジオレットという音を震わせるような弾き方は、日本の楽器・笙(しょう)を知らないとイメージできなかったり、間の取り方を見ても日本人らしい」と、演奏後にもあらためて説明し、最終曲へ。

 

最後に選んだのは、ドビュッシーの「ヴァイオリン・ソナタ ト短調」です。彼が作曲した最後の作品として知られ、今年は没後100年という記念の年ということもあって、プログラムに入りました。「幕の内弁当のようにさまざまなものが詰め込まれた作品です」とユニークな解説をする澤さん。ピアノとヴァイオリンが対等にあって、掛け合い、駆け引き、呼吸を合わせるなど、2人の強い集中力に引き込まれた15分でした。アンコールには選んだのは、2人の留学先であったイギリスに近いアイルランドの民謡「ロンドンデリーの歌」を演奏して終了しました。

 

 

「1曲目から引き込まれてあっという間でした」「地元にいながらこの会議室でこれだけ本格的なクラシックを聴くのは初めてで良い時間でした」と、来場のお客様からはコンサートを楽しんだ様子が伝わりました。

 

山村弘町長もコンサートを鑑賞。3人でパシャリ。