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【レポート】セレノグラフィカ アウトリーチ at 川辺小学校

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セレノグラフィカ アウトリーチ at 川辺小学校

9月24日(金)

 

 

関西を拠点に国内外で活躍するダンスカンパニー、セレノグラフィカ。隅地茉歩(すみじ・まほ)さんと阿比留修一(あびる・しゅういち)さんが1997年に設立し、以来24年、一貫してデュエットによる活動を続けています。

 

11月27日、サントミューゼでコンテンポラリーダンス公演「無言歌〜カラダとウタウ〜」を行うお二人。それに先がけ、市内の小学校や公民館でダンスのワークショップを行いました。

 

この日は川辺小学校での特別授業。木の天井がアーチ型に組まれた気持ちのいい体育館で、3年1組の子どもたちと身体を動かす90分を楽しみました。27人の元気な子どもたち、裸足になってお二人と初対面です。

 

まずはあびちゃん(阿比留さん)、座っている子どもたちにおもむろに近づき、無言のまま、一人ひとりと目を合わせてピースをしたり、親指を立てたり、「エア握手」をしたり。あえて声を出さず、ジェスチャーや表情だけで挨拶します。奇妙な雰囲気に、笑いを抑えられない子どもたち。だんだん動きが激しくなって、ジャンプしたり、仏様のように合掌しながら高速で近づいてきたり。「なになに!」「やめてー!」と笑いながら逃げ出す子もいて大盛り上がりです。続いてまほさん(隅地さん)にバトンタッチすると四つん這いになったりカクカクした動きを繰り出したりと、茉歩さんの持ち味である不思議でユニークな動きが、緻密な身体の動きによって繰り広げられます。遠巻きに眺めながらも「次は何をするんだろう?」と期待の視線を送る子どもたち。

 

ふと、電池が切れたロボットのように動きを止めた茉歩さん。阿比留さんが勝手に変顔をさせたりふざけたポーズをつけさせたりすると、子どもたちは大爆笑。子どもたちも「やりたい、やりたい!」と試し始めます。茉歩さんが上げた手を子どもたちがつかもうとすると避ける、という動きを繰り返すと、「これがダンスってこと?」と尋ねる子もいました。

 

そして、お二人による無言の即興ダンスが始まりました。繊細な体、想像を膨らませる不思議な動き。二人が近づいてくると子どもたちは楽しそうによけながらも、じっと興味深く見つめていました。

 

 

ここでお二人は改めて自己紹介です。

「私たちのことは、マホさん、アビちゃんと呼んでね」

子どもたちが声を合わせて呼びかけるとユニークな動きで応え、すっかり和やかな空気です。

 

全員で輪になり、ウォーミングアップ。茉歩さんの動きを真似することから始まって、一斉にジャンプをしてからそうっと着地してみたり、パンパン8(エイト)という、頭から足のすねまで順に叩く動きを繰り返したり、「感電ビリビリ!」と手足をぶらぶらさせたり。音楽に合わせてリズミカルに動くと、それだけでダンスのよう。「みんな、すっごくセンスいいですね!」と驚いた様子の茉歩さん。

 

続いては

「みんな、この中でジグザグに歩き回ってみてください。友達にぶつかりそうになったら、シュッ!とよけてね。ジャンプしてよけてもいいよ」

と、お手本の動きを見せてくれたお二人。やってみるとすばやく動き回る子どもたち、表情もニコニコと楽しそうです。

今度は同じルールを駆け足で。途中で茉歩さんが「ストップ!」と声をかけると、その姿勢のままで一時停止です。

「すごいねー!顔も止まってますね(笑)」

さらに「手を上げて止まる」「足を上げて止まる」とルールが加わっていきます。子どもたちは動きながら、「次はどんなポーズで一時停止しようか」と一人ひとり考えている様子。ワクワクドキドキが伝わってきます。

 

 

 

「自分が気持ちのいい姿勢になって。友達と一緒じゃなくてもいいよ」

そう声をかけられて、ゴロンと床に寝転がる子、座っている子、思い思いに過ごします。休憩中も、座ってポーズをとる阿比留さんのまわりに興味津々の子どもたちが集まってきて、「何してるの?」と笑顔の渦が広がっていました。

後半は「チーム対抗なぞなぞダンス」。「マホさんチーム」「アビちゃんチーム」の2チームに分かれて、相手チームが身体の動きで表現するキーワードを当てる、というルールです。

 

先攻は「マホさんチーム」。全員一斉に、ぐにゃぐにゃした不思議な動きを始めます。中にはフラフラした動きや、バタンと倒れる動き、横歩きする子も!みんなとても楽しそう。自由な感性に驚かされます。

それを見た相手チームからは「はい!はい!」と勢いよく手が挙がり、

「カニ!?」

「惜しい!ただのカニじゃないんだな」

そこでもう一回、動きを見せてもらうと…

「酔っ払ってるカニ!?」

「正解!!」

全員が大盛り上がり、拍手喝采です。

そんな調子で「背泳ぎするヘビ」「スケートするゾウ」「そうじするロボット」と奇想天外なお題を自由に表現した子どもたち。楽しそうに、身体をめいっぱい使って表す様子が印象的でした。

 

続いてはもう一度輪になって「ウェーブ」。スポーツの観客席で行うように、順番に同じ動きを次の人に回していきます。最後の人までうまくつながると、子どもたちはジャンプして大喜び。さらにおもしろいポーズを順番にしていったり、言葉も付け加えたり。どんどんスムーズになり、全員の心が一つになっていきます。

「すごい!大人でもそこまでできないよ。みんな、気持ちもひとつになってるね!と嬉しそうなお二人。

 

 

今度は、子どもたちに茉歩さんと阿比留さんが「乗り移った」設定で、動きをコピーしていく遊びです。お二人の動きをよく観察して、指先の動きや表情まで真似します。「おっとっと」「シャンプーシャンプー(頭をかき混ぜる動き)」とセリフも加わり、コミカルに。音楽に動きを合わせ始めるとさらに楽しそうで、全員に一つのグルーヴ感が生まれていました。

 

最後は全員で、床に寝転がってクールダウン。心地いい風を求めて、体育館の中を転がって移動する子もいます。

「たくさん動いた体にありがとう、お疲れさまと言ってあげながら、気持ちよく空気を吸ったり吐いたりして。目もつむってみて」

楽しく一生懸命動いたからこその充実感が、全員を満たしていました。

「踊ることが楽しいとみんなが分かった瞬間があったよね。みんなは本当に楽しむことを知っている人たちなんだと感じました。体育も音楽もそんなふうに楽しんでみると、毎日がもっと楽しくなりますよ」

と阿比留さん。子どもたちからも「ウェーブダンスが楽しかった」「みんなで動いて、楽しかった」とたくさんの感想がありました。

 

最後に茉歩さんから、こんな言葉がありました。

「みんなの身体の中には、他のお友達とは違う宝物が入っています。想像してみてね。どんな形かな、どんな色かな。今ははっきり分からなくていいから、それを身体の中にそっとしまって大切に育てていってください」

 

子どもたちが思い思いの「宝物」を想像し、身体の好きな場所へ「しまっておく」動きで、ワークショップは終了。自分の身体を楽しむこと、自由に表現するおもしろさ、音に身を委ねる喜び。ダンスという枠にとらわれない発見が、子どもたちに訪れたのではないでしょうか。