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【レポート】≪新国立劇場連携協定事業≫ 新国立劇場 子どものためのバレエワークショップ

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サントミューゼ

≪新国立劇場連携協定事業≫

新国立劇場 子どものためのバレエワークショップ

2022年11月19日(土)・20日(日)

サントミューゼ 大スタジオ

 


 

長年にわたり新国立劇場バレエ団でプリンシパルとして活躍し、現在は同バレエ団のバレエマスターを務める菅野英男さんを講師に迎えた『新国立劇場 子どものためのバレエワークショップ』が開催されました。

 

このワークショップは初級クラスと中級クラスに分かれて実施され、小学生から高校生までの若きバレエダンサーたちが、菅野さんによるレッスンを受講しました。

 

菅野さんとともに、レッスンピアニストとして圓井晶子さんも参加。

圓井さんの生演奏にあわせてレッスンを受ける贅沢な企画です。

 

 

菅野さん・圓井さんの自己紹介を皮切りに初級クラスのワークショップはスタート。

 

バーレッスンに入る前に菅野さんが参加者に伝えたのは

 

「基本だからこそ、ちゃんとやる」

 

という言葉でした。

基本をおろそかにしないことを冒頭で語ることにより、ダンサーたちの気持ちはぐっと引き締まったに違いありません。

 

その内面を裏付けるように、程よい緊張感を保ちながら、基本の動きに丁寧に取り組む彼女たちの姿がありました。

 

 

圓井さんのピアノ伴奏とともに、基本のレッスンが続きます。

 

ダンサーたちの身体の動きに、的確なアドバイスを送り続ける菅野さん。プリエのレッスンでは「膝とつま先は同じ方向に」・「膝と膝をつけた時に隙間ができないように」など、より具体的なアドバイスを語りかける姿が多く見られました。

 

参加者それぞれの小さな癖を、ひとつずつ言語化し、クリアにしていく菅野さん。ダンサーたちの身体の使い方をじっくり観察して、常に声を出しながら指導を続けていました。

 

 

「基本だからこそちゃんとやる」という言葉どおり、バーレッスンは1時間にも及びました。

 

徹底的に基礎を教える菅野さんですが、決して参加者を子どもとして扱わず、ひとりのダンサーとして向き合っている印象です。

 

下を向かない・目線を意識する・上半身を休まない。

 

次々と出てくる細やかな指導は、優しさと厳しさを兼ね備えたまさに菅野メソッドとも言える緩急あるコーチング。菅野さんの一挙手一投足を見逃すまい、聞き逃すまいと参加者たちも真剣です。

 

 

初級クラスの後半は、複数のグループに分かれてのレッスン。菅野さんの動きをお手本として、基礎的な動きを見つめ直すワークです。

 

菅野さんは「とにかく思いっきりやりましょう!出し惜しみはしない。自分の限界を越えるくらいに動きましょう」と参加者たちに話しかけながら、タンデュ、ピルエット、アラベスクなどを次々と菅野さんご本人の身体をきちんと動かしながら参加者に伝えていきます。

 

動きが小さくなりがちなダンサーには「大きく動かないと、自分が本当にどれだけ動けるかわからない。それを確認する時間にしよう」とアドバイスを送り、ワークショップのテンポに困惑気味の参加者には「失敗してもいいから!」と発破をかけながら、菅野さんの熱心なレッスンは続きました。

 

 

グランパディシャで高く跳ぶコツに挑戦して、初級クラスは終了。

菅野さんは最後に「レッスンとは、いざ舞台で踊るときに、何も考えずに楽しく踊れるようにするものです」という言葉をダンサーたちに伝えました。

 

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引き続き開催されたのは、中級クラスのワークショップ。比較的経験値の高い参加者向けの内容となりました。

 

 

初級クラス同様、バーレッスンからスタート。

 

少人数クラスだけに、参加したダンサーは菅野さんからの濃密なレッスン体験を実感できているようでした。

腕と胴体の空間を気にしてみる・足の絞り込みに意識を持っていくなど、中級者向けの言葉遣いで身体の感覚を養うレッスンをする菅野さん。

 

初級クラスと比べて動きのひとつひとつに精度と素早さを求めながら、「全身を使ってひとつのポーズになるのがバレエ。どこかひとつ抜けているとか、どこかひとつだけがんばるということがあってはいけない」・「魅せる上半身を意識する」・「目線、顔、ボディ。どこかひとつでも忘れないように」など次々と独特の言い回しで語り続け、参加者もその言葉に反応するように身体を動かします。

 

 

中級クラス後半では軸の大切さ、軸足の存在意義、軸足に身体が乗っている感覚など「軸」についてのアドバイスが参加者に伝えられ、レクチャーとアクションを繰り返しながら軸を意識した踊りに挑戦していました。

 

 

やや難易度の高い課題に取り組むダンサーたちに寄り添いながら、ひとりずつに丁寧な指導を繰り返す菅野さん。

 

最後はアッサンブレという動きに注目し、上手に跳ぶために必要なバランスや考え方を伝えてレッスンは終了。

 

「エネルギーをきちんと使えば、それは踊りにつながります」

 

というメッセージとともにワークショップが終了しました。

 

ワークショップ全体を通じて会場に響き渡ったのは、菅野さんの経験に裏打ちされた言葉の数々です。

 

身体動作だけではなく、まずは意識を整えるために声をかけ、動きを明文化し、菅野さん自身の身体を通した言葉で説明する進め方が、参加者たちにとって貴重な体験だったことは間違いないでしょう。

 

自らの言葉で語ることができる指導者による実践的なアドバイスを積み重ね、経験した時間は若きバレエダンサーにとって非常に有意義な時間となったようです。