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【レポート】上田地域定住自立圏連携事業 瀧村依里ヴァイオリンコンサート in 長和町

みる・きく
会場
サントミューゼ

上田地域定住自立圏連携事業 瀧村依里ヴァイオリンコンサート in 長和町

2018年8月22日(水)19:00開演 at 長和町民センター集会ホール

 

 

 

 

 

この日のコンサートは上田市のお隣、長和町で開催。

上田市と地域の6市町村が人口定住促進に向けて連携し協力する「上田地域定住自立圏」の事業として行われました。

 

 

登場したのはヴァイオリニストの瀧村依里さん。ピアノは入江一雄さんです。

 

最初の曲は「タイスの瞑想曲」。夜のとばりが下り始めたこの時間によく似合う、甘く優しい音色です。

冒頭はよく知られた美しいメロディーですが、展開していくと情熱や悲しみも感じさせる深い音色。客席の皆さんはじっと耳を傾け、演奏後は大きな拍手を送りました。

 

 

演奏後、瀧村さんは笑顔で

「長和町に来ることができてうれしいです。今日は短い曲をたくさん演奏しますので、リラックスして聴いてください」

と話しました。

 

次は「ヴァイオリンの名曲中の名曲」という「チャルダッシュ」。

憂いを感じる短調のメロディーから、テンポの速い軽快なメロディーへとダイナミックに展開する演奏。

入江さんとの息もぴったりです。

 

 

続いてはクライスラーの曲を3曲。

「自身もヴァイオリンの名手だったクライスラーは、ヴァイオリンの特徴を生かしたかわいい曲をたくさんつくっています」

 

軽やかで明るいワルツの「踊る人形」。中国を旅したときにイメージしたという「中国の太鼓」はオリエンタルなメロディーの中に、超高音や速弾き、弦を指で弾いたりとさまざまな演奏技巧も聴きどころです。

 

「レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース 作品6」は冒頭から独特の世界が描かれ、暗く心地いい音色で魅了します。

5分間、無伴奏でのヴァイオリン独奏は、時にスリリングに、時に優雅に、と豊かな表情を見せ、演奏後は客席に小さなどよめきが起きたほど。

 

 

「ここからが後半、というイメージでプログラムを決めました」と演奏したのは「亜麻色の髪の乙女」。

伸びやかで澄んだ音色が響きわたります。

 

「ゴリウォークのケークウォーク」は、黒人のダンスをイメージして作られた曲。

身分階級が残っていた当時、フランス人のドビュッシーがこの曲を作ったことはとてもセンセーショナルだったそう。

異国情緒あふれる軽快なメロディーに始まり、哀愁も入り混じる多彩な音、そしてリズム。演奏者の楽しさも伝わってきます。

 

瀧村さんが「夏になるとこの曲ばかり弾いてしまう」という「サマータイム」は水の流れを思わせる涼しげなメロディー。

どこか切なさを感じさせ、後半では妖艶さをまとう音色は、夏の終わりによく似合います。

 

最後はヴィターリ「シャコンヌ ト短調」。3拍子のゆったりした舞曲です。

「この曲は、バスという一番低い声部がずっとワンパターンで8小節繰り返されます。その上で、ヴァイオリンがどのように変化するのかを聴くのがおもしろさなんです」

 

全204小節のこの曲。8小節のバスが25.5回繰り返されるそう!

「飽きそうだと思うのですが、飽きさせないのがこの曲のすごいところだと思います」

ダイナミックで伸びやかな響き、ドラマチックな表情。

加速度的に激しくなるとともに音の厚みを増し、10分に渡る演奏も短く感じるほどに魅了してくれました。

 

 

訪れた方からは「最後の曲は初めて聴いたけど、とても良かった」「普段自分たちが使っているホールとは思えない音の響きで感動した」との声が。

素晴らしい夏の一夜となりました。

 

 

 

【プログラム】

マスネ:タイスの瞑想曲 モンティ:チャルダッシュ

ポルディーニ(クライスラー編):踊る人形

クライスラー:中国の太鼓

クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース 作品6

ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女

ドビュッシー(ハイフェッツ編):ゴリウォークのケークウォーク

ガーシュウィン:サマータイム

ヴィターリ:シャコンヌ ト短調

〈アンコール〉

ラフマニノフ:「パガニーニの主題による狂詩曲」より 第18変