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【レポート】仙台フィルハーモニー管弦楽団上田公演-2016春-

みる・きく
会場
サントミューゼ

2016年3月20日(日) 大ホール

仙台フィルハーモニー管弦楽団

上田公演 ー2016春ー

 

 

昨年10月の提携オーケストラシリーズvol.1の公演も好評だった仙台フィルハーモニー管弦楽団。2回目となる今回の公演も、自ずと素晴らしい演奏への期待は高まります。

 

会場入り口では、仙台フィルの本拠地である宮城県のなかで、大河ドラマ「真田丸」ゆかりの地、白石市と蔵王町の観光PR&物販ブースが登場。真田幸村公や白石市の武将・片倉重長公、ゆるキャラたちが来場者の気分をさらに盛り上げてくれました。

 

プログラムの前にまず演奏されたのは、東日本大震災の犠牲者に哀悼の意を表した弦楽合奏です。「拍手はご遠慮ください」というアナウンスの後、弦楽器によるバッハの「G線上のアリア」の美しいハーモニーが会場を包み、演奏後は演奏者とともに観客も黙祷を捧げました。

 

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続いて熱い拍手のなか、オーケストラの全員が登場。コンサートマスター・西本幸弘さんの指示のもと、さまざまな音が混じり合ったチューニングが始まると、いよいよコンサートが始まるというワクワク感が高まります。

 

指揮者の梅田俊明さんが登場すると、拍手はさらに大きなものに。当日配布されたプログラムノートのなかに掲載されていた西本さんと副コンサートマスター・神谷未穂さんの対談によると、「梅田さんには目線で切られる」と表現されていたので厳しい雰囲気の方を想像していましたが、思っていた以上にスマートな出で立ちで軽やかな笑顔が印象的でした。

 

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しかし、いざ演奏が始まると、おふたりの対談にもあったように的確なタクトをさばく“職人”といった雰囲気。キレがあり、強弱やタメを丁寧に描いて演奏を盛り上げる、とても正確で格好いい指揮をします。

そして、その精緻な指揮から生み出される整った演奏はドラマチック。プログラムの最初、ラヴェルの「古風なメヌエット」は、冒頭の重々しい雰囲気から中盤は緩やかで感傷的な旋律が奏でられ、最後は再び冒頭の荘厳なメロディーで華やかに終わります。そのなかで要所要所にさまざまな楽器が登場して、色彩豊かな響きが広がっていました。くわえて、コンマスの西本さんの演奏スタイルはとても力強く伸びやかで魅了されました。
続いてオーケストラが下がると、ステージの真ん中にピアノが登場。いよいよ、1980年のショパン・コンクール優勝者であり、世界的ピアニストとして名高いダン・タイ・ソン氏の出番です。

 

プログラムは、ショパンの「ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21」。作品のほとんどが独奏曲のショパンが2曲だけ残したピアノ協奏曲のひとつで、プログラムノートの言葉を抜粋すると「独奏の鮮やかな名技を管弦楽が支える」スタイルの作品です。そのなかで「多感なロマン的感情表現と民俗的語法に基づくポーランド的精神の表出が意図されて」います。

そのピアノパートを独奏するダン・タイ・ソン氏の演奏は、先の西本さんとの対談で神谷さんが「真珠を転がすような」と表現していましたが、まさにその表現がぴったり。繊細できらびやかで美しく、円熟した音色は本当に感動的でした。

 

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また、それを支えるオーケストラの伴奏も安定感があってしなやかで美しく、瑞々しいピアノの独奏との掛け合いも息が合っていて素晴らしいものがありました。最後は華々しく高揚感に満ちたハーモニーで締めくくられ、会場からは割れんばかりの拍手と「ブラボー!」の声が。息をのむほど壮大で引き込まれる充実した演奏でした。

 

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その後も拍手は鳴り止まず、オーケストラのメンバーも拍手をするなか、梅田さんとダン・タイ・ソン氏が再び登場。ダブルコンマスを務めるふたりと握手をしたダン・タイ・ソン氏は、梅田さんと手をつないで、全員が起立したオーケストラのメンバーとともに客席に向かって深く一礼をしました。

そして、「ショパンの歌を演奏します」と日本語で話し、アンコール曲「ワルツ ロ短調 作品69-2」を演奏。「ショパンに愛されたピアニスト」という愛称の通り、格調高く流れるような自然な音色には根底から輝くような美しさがあり、余韻がいつまでも心に残りました。

 

ダン・タイ・ソン氏のサイン会も開催された15分間の休憩の後は、ブラームスの「交響曲第3番 へ長調 作品90」。プログラムノートによると「逞しさ、暖かさ、そして諦観、孤独など、この時期のブラームスの様々な心情が織り合わさっている」作品とありますが、まさにその通り、荘厳さや明るさ、軽やかさ、静けさ、物悲しさなどが絶妙に混じり合った印象です。楽しくも悲しく、安らかななかにダイナミックさや陰りを感じさせ、最後は闘争的な力強い演奏から再び静かになり、安らかに終結。その演奏を堪能するかのように、客席からはじわじわと盛り上がる拍手が湧き起こりました。

 

 

鳴り止まない拍手のなか、最後に西本さんから挨拶が。

「このまま仙台に持って帰りたいほど素晴らしいホール」と、サントミューゼの大ホールを評価し、東日本大震災から5年経った今の心境を「どう復興を続け、素敵な曲をどう提供できるかを考えながら演奏しています」と語って、「また上田に戻って来られたら」と締めくくりました。

 

 

 

 

その後「最後に1曲演奏します」と西本さんが羽織ったのは、六文銭の赤い陣羽織。

 

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そして『真田丸』のオープニングテーマ曲が演奏されたのです。客席からは「お~!」というざわめきが起こり、真田幸村が大好きだという西本さんのヴァイオリンソロも誇らしげに響き渡っていました。会場は大盛り上がりとなり、大満足の演奏会となりました。

 

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