【レポート】『他人』関連プログラム『小学生向け演劇ワークショップ』
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内藤裕敬さんとプロジェクトVol.2『他人』関連プログラム『小学生向け演劇ワークショップ』
- 開催日
- 時間
- 10:00~
- 会場
- サントミューゼ 大スタジオ
11月の演劇公演で演出を手掛ける劇作家・演出家の内藤裕敬さんを迎え、「見えないものを創造してみよう!」をテーマにワークショップが開催されました。午前中は16人の小学生が参加しました。
見えないものを見ようとする力
大スタジオに内藤さんとアシスタントの吉田将さん(大旅軍団)が登場します。「教えることはないんだよ。逆にみんなに聞きたくて来たんだ」という内藤さんのストレートな言葉に、子どもたちの興味が高まるのが伝わってきました。
まず内藤さんは3つの封筒を取り出しました。「中に○×△を描いた紙のどれかが入っていて、透けて見えないようにしてあります。君たちには中のマークが見えるかもしれない。見えなくても、ホワ~ンと浮かぶかもしれない。周りの人に相談せず、自分が思ったものを選んでほしい。」と言う内藤さん。男の子が最初に選んだ封筒の中身は×。2回目はひとりの男の子が「絶対×だと思う」と言い出しました。「封筒のキズがさっきと同じだから」という指摘に、内藤さんが「いい観察力だな!」と驚いて封筒を取り替える一幕も。


次は、短い音楽を聴いてそれぞれ「海か山か」「四季」「数字」をイメージします。内藤さんが子どもたちに理由を尋ねると、「なんとなく」「音の形が山の自然っぽい」「CDが青かったから」「動物が冬眠から覚める感じ」「クリスマスっぽい」「奇数っぽい」「終わりの感じの曲調」など感じ方は見事に多彩でした。

内藤さんは必ずすべての子どもたちに理由を話してもらうようにして、「いいね!」「いろいろ見えるね」とポジティブな言葉を返します。小さな声で話す子には、近くまで行ってしゃがんで話を聞きます。


1曲から16通りの絵が生まれる
休憩後は、スピーカーから流れる音楽が3枚の絵のどれを表現しているように感じるか、イメージを探ります。絵は札幌芸術の森美術館と、サントミューゼの上田市立美術館が所蔵しているものです。最初はくじら、馬、ふくろうの絵が並び、「大きな魚から逃げているみたい」「ひづめの音」「冬に歩いていた人が倒れて、それをふくろうが見ている」などさまざまなイメージが飛び出します。別の絵でもトライしてみます。

最後は音楽だけを聴いて、自分の中に生まれてきたものを絵に描いてみます。「上手な絵はいりません。わからないなら、わからないまま描いてください」。色鉛筆やカラーペンを手に画用紙に向き合うと、すぐに描き始める子、じっくり描き込む子、イメージが浮かぶのを待つ子、それぞれです。描き終えて、絵を置いていた譜面台を前に指揮者ごっこをする男の子たちの姿には、想像する力の広がりを感じました。

内藤さんは「見えないものを見ることを楽しんだり思いを巡らしたりするだけで、毎日が変わります。もしかしたら算数や理科の向こう側にも、何か広がっているかもしれないね」と締めくくり、みんなでそれぞれが描いた絵を鑑賞します。嵐の海の中にいる人、大きな木とおばけ、誕生日ケーキ、血を流す人、スノーボードをしている人、猫の食卓、抽象的な形……同じ音楽からまったく違う16通りの絵が生まれました。

ワークショップ後、小5の女の子は「想像力を高められたし、自分で表現することが演劇につながるのかな」と話してくれました。小5の男の子からは、「面白かった。人それぞれの考えかがあるんだと改めて実感しました」と、この時間を楽しんだことが伝わってきました。
取材・文:くりもときょうこ
写真:齊梧伸一郎