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【レポート】南紫音 アナリーゼワークショップvol.43 

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2020.10.9(金)

 

サントミューゼ 小ホールで開かれるヴァイオリン・リサイタルでベートーヴェンを軸に演奏するヴァイオリニストの南紫音さんが、ベートーヴェンの曲をより深く知るためのアナリーゼ・ワークショップを行いました。

 

「今年はベートーヴェンの生誕250年という記念の年です。何を話そうか迷いましたが、私自身のベートーヴェンに対する個人的な想い、魅力についてお話しします」と始める南さん。

 

小学校6年生の時の発表会で初めてベートーヴェンの「ピアノソナタ1番」を聴き、“曲の美しさに圧倒された”とのエピソードを披露。以来、今でもリサイタルでは必ずベートーヴェンの曲をセレクトするほど大好きな作曲家になったそうです。

 

また、なぜ彼の曲が好きなのかと考えてみると、演奏していると自分の心が正しい位置に戻るような感覚があり、自分にとってベートーヴェンの曲は “心のヨガ”のよう、今は、ベートーヴェンの音楽に向き合う中で、彼がどのように自分自身や人生と向き合い、困難を乗り越えて、その経験を音楽に投影していたのかを目の当たりにしていると語りました。

 

 

リサイタルで演奏するヴァイオリンソナタは、初期から中期にかけて作られました。その間にガラリと変化していく作風を説明するために、南さん手書きのソナタの年表をスライドに投影しながら解説していきます。表を見ると、色によって長調・短調の曲が分かれ、10曲のうち2曲だけが短調だということが分かります。

 

また、この表には作品番号や作曲・出版された年なども記されており、この中で4番や5番が作られたあたりに書かれたハイリゲンシュタットの遺書に触れて、「ここを転機に彼の作風が変わっていった」と解説。『ベートーヴェンの生涯』(岩波書店)に収録されているハイリゲンシュタットの遺書を朗読したうえで、南さん自身が感銘を受けたという「そのような死から私を引き止めたのはただ芸術である。私は自分が果たすべきだと感じている総てのことを成し遂げないうちにこの世を去ってゆくことはできないのだ」という一節を紹介しました。

 

つづいて、6番と9番の解説に先立ち、ピアニストの三原未紗子さんと一部を演奏。

 

6番は「スプリングソナタ」や「クロイツェルソナタ」ほど有名ではありませんが、ベートーヴェンのイメージを覆すような、優しさに満ち溢れた曲調と説明し、「10曲の中で一番好きな作品です。あまりにも好きすぎてこれまで手を出すことができませんでした」とコメント。この作品に惚れ込んでいる様子が伝わってきました。

 

合間には三原さんがOp.31「テンペスト」を演奏。

 

この曲は中期のソナタの核となる曲ですが、ベートーヴェンはこの頃に新しいピアノを得て、その進化に大きな刺激を受けて創作意欲を持ち直し、“創作の森”の時代に突入していったとのこと。

 

 

9番の「クロイツェルソナタ」は10曲の中で時間が40分ほどと演奏時間が長く、最もパワーが必要な曲で、「コンチェルト(協奏曲)のように書いた」と残されています。「ベートーヴェンにとってコンチェルトとは何か」を考えた時に「ヴァイオリン・コンチェルトが思い浮かぶ」と南さん。長い長い前奏のあとに突如オクターブから始まり、少しミスをするとすぐに分かってしまうことから多くの演奏家が緊張するそうです。その感覚を味わってもらおうと、この日はヴァイオリンを弾き始めるところまでの数分間をCDで再生。この曲のようにクロイツェルソナタも緊張感があると語りました。

 

短い時間ながら、南さんの個人的な感想を含めて曲の聴きどころを知ることができるアナリーゼに、参加者からは「堅苦しくなく、演奏家の視点を知ることができてよかった」などの声が寄せられました。

 

 

最後に、前日が誕生日だったという南さんのためにサントミューゼのスタッフがサプライズケーキをプレゼント。

 

事前の打ち合わせが無かったにも関わらず、三原さんによる「Happy Birthday To You」の伴奏で、参加者全員が合唱。南さんのとても嬉しそうな様子と、和やかな雰囲気でアナリーゼは終了しました。


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