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【レポート】Quatuor Bアーティスト・イン・レジデンス城南地域

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サントミューゼ

芸術家ふれあい事業 Quatuor B クラスコンサート

2017年10月11日 at 川辺小学校
フランス語で「4人組」の「B」を意味するQuatour B(クワチュール・ベー)は、2007年に結成したサクソフォーン四重奏。グループ名の「B」は全員血液型がB型であることに由来します。

ソプラノ・サクソフォーンの國末貞仁さん、アルトの山浦雅也さん、テナーの有村純親さん、バリトンの小山弦太郎さんの4人が、芸術家ふれあい事業の一環で上田市内2つの小学校でクラスコンサートを開きました。今回は川辺小学校5年生とのふれあいをレポートします。

 

この日は35人の児童が音楽室に集まりました。

体育座りで登場を待っていると、入口の向こうからサックスの音色が聴こえ始めました。登場曲は映画『メリー・ポピンズ』の劇中歌「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」を演奏しながら登場。

 

 

メンバー4人が児童たちの近くによって演奏すると、音の大きさに少しびっくりした様子。

楽器をじーっと見ている子や、すでにリズムに合わせて体を動かしている子などいろんな反応が生まれていました。

 

入場曲を終えると、ソプラノ・サクソフォーンの國末さんが代表して挨拶をし、順番に自己紹介をしました。

 

 

 

そしてサクソフォーンがどのように音が出るのか楽器を分解しながら説明をしていきました。

まずはリードを見せて児童たちに何か尋ねてみると、初めて見た子から「アイスの棒!」という返答が。

「たしかに似ているね」と小山さんが応えながらマウスピースにリガチャーでリードを留めて吹いてみると、草笛のような音になりました。

 

 

そこにネックを付けて長さが出ると、今度は低い音が出るように。しかし、これではまだ音階は出せません。

そこでボディを付けてリコーダーのような要領でキーを押さえてみると音階が生まれるように。
こうして1つひとつのパーツを丁寧に説明してから、1曲目の解説へ。

 

「演奏するのはベルギーの作曲家・サンジュレが4本のサクソフォーンのために作った曲です」

と國末さんが話してから、サクソフォーン四重奏曲第1番作品53より第四楽章を演奏。

4人の異なる音域が重なり合い、心地よいハーモニーを生み出していました。

 

 

言葉や歌で説明ができない分、楽器の演奏は音だけでいろんなものを伝えようとします。

また聴く側もそこからさまざまな感情を得ていきます。

 

 

2曲目は「自分が感じるままに聴いてほしい」というメンバーの意向のもと、題名を告げずに演奏をしました。

目に見えない音を一生懸命集中しながら聴く児童たち。

 

演奏した後にどんなイメージを得たか聞いてみると、「楽しい気分」「山に登った感じ」「ヤギがいるような」「いろんな場面が見えて、映画のようだった」とさまざまな答えが返ってきました。

 

 

題名が「鉛の兵隊の行進」(ピエルネ作曲)だと聞くと、それぞれに曲を思い浮かべるように隣りの人と意見を交換し合います。

ただ演奏を聴くだけではない楽しみを感じているようでした。

 

つづいて演奏したのは、題名が無い曲です。

「みんなで題名をつけよう」という趣旨のもと、先ほどの曲と同様に自分の中でイメージを広げてもらうことに。

すると、「けばけばしい」「戦争みたいだ」「うるさい」「パニック」から、「飼い主が不在中に犬が自由に遊んでいるような感じだから『ペットの休日』」「走り合っているイメージがするから『馬の競争』」などより具体的にシーンを思い描いて表現する児童も。

もともと題名が無い分、演奏から感じたものを言葉遊びのように楽しんでいました。

 

最後に披露したのはフランスの作曲家・デザンクロのサクソフォーン四重奏より第三楽章を演奏。

 

 

 

結成10年の息のあった演奏と、サクソフォーンの楽器の魅力をたっぷり伝えたコンサートとなりました。