概要
イギリスの社会思想家、ウィリアム・モリスは自著『ユートピアだより』の中で、暮らしと芸術の総合を唱えました。元は「どこにもない場所」を意味する「ユートピア」。今ここにある課題をみつめ、どこにもない理想を夢みる思想は、それが紹介された20世紀日本でも美術、工芸、建築などにおいて暮らしをめぐる理想と課題となります。そして、幅広いジャンルを結ぶ共同体が模索されました。
本展では、山本鼎、柳宗悦、宮澤賢治そして竹久夢二の美術運動、松本竣介らの作品、デザインサーヴェイ、アントニン・レーモンド、井上房一郎、ブルーノ・タウトの関連資料といった多岐にわたる展示品をもとに、「美しいユートピア」にまつわる過去をたずね、未来を思い描く方法を探ります。


※会期中、一部展示替えがあります。(詳細は展示リストをご覧ください)
展覧会名 美しいユートピア 理想の地を夢みた近代日本の群像
会場 サントミューゼ 上田市立美術館 2階企画展示室
会期 2026年4月11日(土)~6月7日(日)
※休館日 火曜日(5月5日(火)・6日(水)は開館、7日(木)は休館)
開館時間 9:00~17:00 (最終入場は16:30まで)
主催 ユートピア展上田実行委員会
(上田市・上田市教育委員会・テレビ信州)後援 一般社団法人日本建築学会、公益社団法人日本建築家協会
企画協力 株式会社TNCプロジェクト
観覧料
プレイガイド:上田市立美術館ミュージアムショップ(取扱い現金のみ)
前売券: 2月27日(金)~4月10日(金)まで上田市立美術館ミュージアムショップにて販売
| 前売券 | 当日券 | |
|---|---|---|
| 一般 | 1,000円 | 1,200円(1,100円) |
| リピート割 (要半券提示) | ➖ | 1,000円 |
| 高校・専門・大学生 | ➖ | 500円(450円) |
| 小・中学生 | ➖ | 300円(250円) |
※同チケットで山本鼎コレクション展示もご覧いただけます。
※障害者手帳携帯者は半額、その介助者は1名無料(障害者手帳をご提示ください)
※未就学児は無料
※高校生以上は学生証をご提示ください
展覧会概要
第1章 ユートピアへの憧れ 1849-1929
イギリスの思想家ジョン・ラスキン、ウィリアム・モリスの影響により、暮らしと美術をめぐる理想が、日本でも唱えられるようになります。西洋美術の窓口となった白樺派同人たちの目は、柳宗悦を中心として、やがて民衆の暮らしの中に向けられることになりました。「民藝」運動は、西洋に憧れ、ひるがえって自らの暮らしに美を見出し、「かくあらねばならぬ」理想を追い求めることから始まったのでした。


第2章 たずね求める 周縁、国外でのフィールドワーク 1917-1943
近代化が加速する中で、失われていく「民」の暮らしを見つめなおす動きが見られるようになります。建築家・今(こん)和次郎・純三 兄弟による民家・農村生活を記録したドローイングは、約100年前の東北や朝鮮の暮らしを今に伝えます。また、財界人・渋沢敬三の自邸に私設された「アチックミューゼアム(屋根裏の博物館)」や民俗学を推し進めた人々、そして彼らが目指す民俗学博物館構想の関係資料・図面を展示します。
そのほか、芸術家・山本鼎による日本統治時代・台湾の工芸調査の記録などもご紹介します。

第3章 夢みる 都市と郊外のコミュニティ 1926-1949
関東大震災以降、膨張する都市に対し、郊外や田園によりよい暮らしが求められるようになっていきました。同時期、各所で芸術家村やコロニーも生まれていきます。分離派建築家の蔵田周忠は、郊外に芸術家たちが集って住む住宅群を設計しています。また、詩人であり建築家の立原道造は、毎夏に訪れていた軽井沢・追分の地に芸術家コロニーを幻想しました。
一方で、多くの若き芸術家が生活した「池袋モンパルナス」での交友から、靉光、鶴岡政男、松本竣介らの「新人画会」が誕生します。作品や文章から、戦後美術の出発点となった彼らの理想をたどります。

群馬県立近代美術館蔵
第4章 試みる それぞれの「郷土」で 1919-1936
「郷土」の中から、美しい暮らしの実践を試みた人々がいました。
信州・神川村(現上田市)で山本鼎がおこした農民美術運動を始め、榛名湖畔にアトリエを構えた竹久夢二の「榛名山美術研究所」構想。群馬県の実業家、井上房一郎が、建築家、ブルーノ・タウトを招いて始めた工芸運動をご紹介します。特に井上房一郎は、鼎の運動を支援し、鼎もまた井上のフランス留学の世話をするなどといった間柄で、長年親交があった人物です。今回、上田市立美術館の顕彰作家である鼎と、井上の両運動を当館で初めて並べて展示いたします。
また、童話や詩で知られる宮澤賢治の、花巻の農村に根差した活動や「農民藝術」の提唱についてご紹介。賢治直筆の絵(会期中展示替えあり)も展示します。

群馬県立歴史博物館蔵

上田市立美術館蔵
第5章 ふりかえる/よみがえる ユートピアのゆくえ1958-1993
戦後、井上房一郎は地元高崎で芸術・建築の力による都市再生を目指しました。市民の建設運動と、建築家・デザイナー夫妻であるアントニン&ノエミ・レーモンドとの協働により、群馬音楽センターが設立。また当時は新進気鋭だった磯崎新を抜擢して建てた群馬県立近代美術館は、現在でも「世界の美術館の原型」として、大きな影響力を持つ建築物です。
また、60年代後半からは、高度経済成長にともなって消えゆく共同体の姿をとらえるため、集落実態調査「デザイン・サーヴェイ」が行われます。それは単なる過去のふりかえりではなく、発展していく日本の都市や建築が向かうべき姿を模索するものでした。

©The Raymond Family

工学院大学 学術情報センター工手の泉蔵
関連イベント
1.記念講演会
祖父、清六から聞いた宮澤賢治
宮澤賢治とは、どのような人だったのでしょうか。
賢治の実弟・清六氏の孫にあたる宮澤和樹氏をお招きし、「賢治さん」の美術・宗教・科学に対しての考え方、日常での様子、『雨ニモ負ケズ…』の願いなど、家族こそが知るその姿をうかがいます。
講 師=宮澤和樹氏(宮澤賢治の実弟清六の孫、株式会社 林風舎代表取締役)
日 時=5月9日(土)10:00~11:30
申込期間=4月22日(水) 9:00 〜 5月6日(水) 17:00
2.企画3館の学芸員によるギャラリートーク
4月18日(土)14:00~
[ゲスト]住田常生氏(高崎市美術館)
4月25日(土)14:00~
[ゲスト]大村理恵子氏(パナソニック汐留美術館)
5月23日(土)14:00~
山極佳子(上田市立美術館)
会 場=美術館2階展示室
申 込=不要
参加要件=「美しいユートピア」当日観覧券が必要です。
3.ミュージアムコンサート
群馬交響楽団 弦楽四重奏
ナイトミュージアムコンサート
当サントミューゼの定期演奏会でもおなじみの群馬交響楽団から、弦楽四重奏をお招きしての演奏会。楽団が拠点としていた群馬音楽センターに思いをはせながら、夜の展示室で音楽と美術を楽しんでみませんか。
出 演=群馬交響楽団 弦楽カルテット
日 時=5月30日(土)18:00~20:30
申込期間=4月29日(水) 9:00 〜 5月13日(水) 17:00
プレイベント
「わたしの文化活動」持ち寄り座談会
~「仲間と文化事業をおこしています」から「毎年梅酒を漬けています」まで~
暮らしにまつわるゆたかな取組みを「文化活動」と捉えて、地域の交流拠点にもなっている民間文化施設・犀の角に、みなさんの「文化活動」を持ち寄ってお話ししてみませんか。
美しい暮らしやゆたかな生活にまつわる過去をたずね、未来を夢みる「美しいユートピア」展のテーマにちなみ、私たちの文化活動を発見しあい、面白がりあってみましょう!みなさんのお話に絡めつつ、美しいユートピア展 担当学芸員が展覧会の内容についてご紹介もします。
場 所=犀の角(長野県上田市中央2丁目11-20)
進 行=山極佳子(上田市立美術館・美しいユートピア展 担当学芸員)
伊藤茶色(犀の角・ふかふか文化研究所研究員)
日 時=3月1日(日) 17:30~19:00
申込=2月20日(金)9:00 〜 2月27日(金) 17:00
映像作品『美しいユートピア』上映
「美しいユートピア」展会期中、上田市立美術館2階ホワイエにて、映像作品『美しいユートピア』を上映します。
ナレーションは俳優の小林虎之介さん、楽曲制作は音楽家のSelin(セリン)さんです。
展覧会と併せてぜひご覧ください。
映像『美しいユートピア』(約14分)
ナレーション:小林虎之介(俳優)
楽曲制作:Selin(音楽家)
制作:株式会社ネクサス


チラシ
展示リスト
お問い合わせ・アクセス
上田市立美術館 0268-27-2300 (受付時間 9:00〜17:00 /火曜日休館)

