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【レポート】デュエットゥ アナリーゼワークショップ

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【レポート】デュエットゥ アナリーゼワークショップ

 

 

2月9日(木) 、デュエットゥのアナリーゼ(楽曲分析)がサントミューゼ大スタジオで行われました。

 


デュエットゥは木内佳苗(かなえ)さん、大嶋有加里(ゆかり)さんによる、連弾と2台ピアノを専門とするピアノデュオ。

来る3月11日(土)のリサイタルをより深く楽しんで頂こうと、演奏曲の一つ「屋根の上の牛」を取り上げて解説しました。

 

 

まずは連弾の歴史からレクチャー。

17世紀初めにイギリスで誕生した連弾ですが、注目されたのは100年以上後。

モーツァルトが連弾曲を多数作ったことがきっかけでした。
「彼が初めて作った連弾曲は、姉と一緒に弾くためと伝えられていますが……本当は好きな女性と弾きたかったのでは?連弾は二人が近づくチャンスですから」
とのゆかりさんの言葉に、会場からは笑い声。

 

連弾の代表的な作曲家を紹介し、話題はフランスの作曲家、ミヨーへ。

 


「彼は室内楽や管弦楽、オペラなど幅広いジャンルでたくさんの作品を遺しています。肖像画は真面目そうですが、実際はユニークな人だったそうですよ」

 

ミヨーは25歳の時、縁あって当時「未知の国」とされていたブラジルへ渡ります。

すると現地はカーニバルの真っ最中。

衝撃を受けた彼は、ブラジル音楽に傾倒していきます。

 

ブラジルから得たインスピレーションを盛り込み、帰国後に作曲したのが「屋根の上の牛」。

18分に及ぶこの曲は当初オーケストラ用に作られ、のち連弾に編曲されました。

映像でオーケストラ演奏が流れると、陽気で楽しいような、時に切ないような不思議なメロディー。

打楽器「ギロ」の音も印象的で、無国籍な雰囲気に引き込まれます。

 

 

「この曲の構成は『ロンド形式』。テーマのメロディーの後に違うメロディーを挟み、またテーマに戻ります」

 

「屋根の上の牛」のテーマは、1曲の中に13回登場。

間に挟まれているのが、ブラジル民謡をモチーフにした30以上の親しみやすいメロディーです。

サンバやタンゴなど楽しいものが多く、実演に合わせて自然と体を揺らす人も。

「もう一つ、この曲の面白さが『多調性』です」
とかなえさん。

 

曲にはすべて「ハ長調」「イ短調」など「調」があり、雰囲気を決めています。

たとえば「チューリップ」も調を変えて演奏すると切ない感じになったり、華やかになったり。
「普通の曲は一つの調でできていますが、同時に複数の調が進行するのが『多調性』です」

 

 

スクリーンに「屋根の上の牛」の楽譜が映し出され、矢印で追いながら演奏。

まずは二人の右手だけで、次に左手だけで。

それぞれ美しいメロディーです。

「では4本の手で弾いてみましょう」

すると不思議なことに、不協和音のように奇妙なハーモニーが流れ出しました。

これには参加者もびっくり。

 

 

 

 

「これで正しいんです、間違えているんじゃないんですよ!」

続いてカノンの部分。2人の右手だけの演奏も、一人ずつ両手で弾く演奏も華やかなメロディーですが、手が4本になったとたん、混沌とした音楽に一変。

さらに1つのフレーズに3つの調が存在する部分も奇妙な雰囲気で、「これで正しいの?」と思ってしまうほど。

 

 

ミヨーが作ったこの曲には、なんと24の調すべてが登場します。

すべてルールに則って作られ、緻密な計算の上で成り立っているそう。

「聴いていると変な気持ちに持っていかれますよね。そこも魅力なんです」

 

 

3月のリサイタルでは、2台のピアノでこの曲をフル演奏。

ミヨー独特の世界観をじっくり堪能させてくれそうです。

曲の成り立ちを知ったことで、印象も変わる予感。

ますます公演が楽しみになってきました。