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【レポート】高校生が創る「実験的演劇工房プラス」 上田市・豊岡市姉妹都市高校生交流事業

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高校生が創る「実験的演劇工房プラス」 上田市・豊岡市姉妹都市高校生交流事業

2017年7月29日(土)~31日(月)

 
兵庫県豊岡市と姉妹都市提携をしている上田市が、南河内万歳一座の座長・内藤裕敬さんと田上パル主宰の田上豊さんの2人を講師に迎えて、演劇を通して高校生同士の交流をうながす事業を開きました。

 


初日・29日は田上さんの進行のもと、自己紹介とワークショップを行いました。

まずは顔と名前を覚えようと円になり、1人ずつその内側を歩いて自分の名前を伝えて挨拶をしていきます。

 

 

「地元同士だとついふざけてしまうけれど、初体面の人だとかしこまってすごく日本人らしい(笑)。

この事業を通して最後には誰にでも同じテンションで交流し、仲良くできるようになってください」

と田上さん。

 

 

その後は椅子取り鬼ごっこ、聖徳太子ごっこなど、田上さんも一緒に高校生に混じってみんなで遊んでいるような雰囲気で交流を温めていきました。

 

 

休憩後、A4用紙1枚にまとめられたト書きをもとに8チームに分かれて、3カ所空白となっている台詞を自由に埋めて短編劇を作って発表して顔合わせを終えました。

 

 

30日は内藤さん、田上さんの2チームに分かれて創作準備に入りました。

内藤さんは高校生に「お芝居とは」「役者とは」「そのように作品を創るのか」など座学を中心に芝居の基礎学習から始めていきました。

 

 

 

後半では「原稿の上で会話を遊ぼう」とト書きを作る練習に入りました。

 

最初の1行のみ決まっている中、各自が登場人物やシチュエーションを設定して自身の想像力を最大限に使って文章にしていくもので、座学でインプットに終始した時間から一転してアウトプットする練習を続けていきました。

 

 

最後はみんなが書いたト書きを抜粋しながら1つにまとめて、あっ!とおどろくような不思議な物語が完成。

それをもとに練習に入りました。

 
一方田上さんは「夏だから怖い話にしよう」とテーマを掲げて、まずは上田市と豊岡市それぞれに分かれて自由に考えることに。

上田市では「牛に引かれて善光寺」や「姨捨山」、豊岡市では「婆々焼き」や「おりゅう灯籠」を提案。

 

 

そこから各市の高校生を混ぜて2チームに分けてさっそく物語を創り始めていきました。

両チームとも明日の本番を前にギリギリまで練習を続けていました。

 

 

 

 

 

31日は朝9時前から両チームともに練習を始めて最終調整を続けていき、ゲネプロで舞台の感覚を掴んでいよいよ本番!

 
発表は田上さんチームから行われ、「姨捨山」「牛に引かれて善光寺」をモチーフにさらなる創作を加えた2作品から発表。

 

もとのテーマ「怖い話」を知らない観客からは見終わった後に「なんであんなことに!」「ちょっとこわかったね」とささやく声も。
つづく内藤さんチームは「冷蔵庫を開けると、真っ白い『うさぎ』と目があった」という不条理なシチュエーションから紡がれる人間模様を描いた作品で、最後の最後まで不思議な世界に引き込ませながらも、人と違う考え方を持つことに対して問題提起をうながす良作でした。

 

交流を目的に高校生たちに自由に遊ばせるように創造した田上さん、理論的に演劇について学びの時間を持たせた内藤さん。

 

2人の演出家による異なる『PLAY』の形を、各チームの高校生たちは短い時間の中でたっぷり吸収し、作品へと昇華。そんな濃密な3日間となりました。