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【レポート】小川典子 ピアノリサイタル

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小川典子ピアノリサイタル
2017年9月30日(土) at 小ホール
今年でピアニストとしての活動が30周年という小川典子さんのピアニストが、開催されました。

真っ赤なドレスに身を包んで颯爽と登場した小川さん。

来てくださった観客に向けて挨拶と、上田での活動中に温かく迎えてくれた市民の皆さんに感謝のお礼を述べました。

 

そして初めてリーズ国際コンクールに出場するために、スーツケース1つでイギリスに渡った時をふり返りました。

イギリスの人たちの前で演奏してみたいという想いが強い原動力となって本選に残ることに。

友人から母親にその旨を伝えたところイタズラ電話だと勘違いされてなかなか信じてもらえなかったというユニークなエピソードを披露。

最終的にはそのコンクールで第三位に入賞しました。

それから30年、イギリスは知れば知るほどに奥が深く、懐が深いと話してベートーヴェン作曲の英国国家による7つの変奏曲を演奏しました。

 

 

「イギリスはエリザベス女王を頂点にして今でも階級社会の構造が残っています」

と、つづくトークではイギリスの階級について話が広がりました。

例えばイギリス人の名前の中には、一定の階級の人しか付けられないものがあったり、小川さんがウィンザー城で演奏した時の話を交えながら階級が上がるごとに出される食事の量が減ることにおどろいたというエピソードを披露。

そして2曲目に演奏する、ベートーヴェン作曲のピアノ・ソナタ第23番ヘ短調Op.57「熱情」について思い出があると小川さん。

 

「リーズ国際音楽コンクールで3位入賞後、プロとしてさまざまなところで演奏するようになりました。

ある日、観客が全員ピアニストという中で「熱情」を演奏することに。

その時に私の第三楽章の指使いが特殊であると話題になりました。

これは私が最後に教えてもらった先生から教えてもらった指使いです。

そういったところも楽しみながら聴いてください」

 

 

休憩後は、コンクールで審査員をする時の苦労話から始まり、

プロとして活動をするようになってからリーズ国際音楽コンクール入賞後にブッキングをしてくれた方との再会で

「君が二十数年経っても演奏をしているだろうと確信したから選んだんだよ」

と言葉をかけてもらったことなどの話題へ。
後半は武満 徹の閉じた眼Ⅱ、ドビュッシーの『映像』第1集より「水の反映」「ラモーを讃えて」「運動」をつづけて演奏。

その中で武満徹について触れました。

 

「次に演奏するのは、長野県御代田町出身、世界で最も有名な日本人作曲家である武満徹さんの閉じた眼Ⅱです。

彼の作品の中では長い曲ですが、美しい響きが満載です」

 

と紹介してから後半の1曲目へ。

 

 

さまざまな音が煌めくように響き合う美しい曲で、演奏後には

「武満が誕生した長野県だったからか、今日はとても気持ちよく演奏できました」と小川さん。

 

つづくドビュッシーの作品はラヴェルの『水の戯れ』に影響を受けたといわれています。

映像という題名のとおり、音の表現が豊かで印象深い1曲です。

 

最後に小川さんが選んだプロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番変ロ長調Op.83は、このリサイタルの数週間前にもイギリスの教会で演奏。

しかしリハーサルの時に曲中の連打の練習をしている途中でピアノの鍵盤が下がったままになってしまい、教会の方に対応いただいたものの本番までに戻せずそのまま演奏することになったというエピソードを披露。

 

戦争ソナタのうちの1曲として有名なこの作品ですが、ゆっくりと美しい旋律が広がるところから突如切り替わるテンポ、激しいエネルギーを抱えながら突き進むクライマックスとドラマチックな演奏に、終了後は湧き立つような拍手となりました。

 

 

 

アンコールにはエリック・サティ作曲ジュ・トゥ・ブを演奏。30周年という記念の年を小川さん自身がふり返り、その時々の思い出や演奏する曲について観客に共有し、ともに楽しんだリサイタルとなりました。