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【レポート】きむらとしろうじんじん 野点

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きむらとしろうじんじん 野点

2019年11月4日(月・祝)11:30〜日暮れ

at旧宮坂内科医院の庭

 

上田駅へと通じる県道77号線と上田城跡公園を結ぶ通り沿いにある旧宮坂内科医院の庭に、スキンヘッドには茶筅をのせた、真っ赤なドレスの人が、何やらリアカーの前で準備をしています。

 

 

この人物が今日の主役・きむらとしろうじんじんさん(以降じんじんさん)で、今日はここで「野点」のイベントが開かれました。

大きなリアカーには陶芸窯とコンロが詰まれ、もう1つのリアカーには10色のパステルカラーの釉薬が並んでいます。

 


一般的な野点といえば、野外でお茶または抹茶を点てて楽しむ茶会をイメージしますが、じんじんさんの「野点」はちょっと変わっています。

ただお茶を楽しむだけではなく、お茶をいただく際のお茶碗も参加者自ら絵付けし、その場で焼きあげ、自分でつくったお茶碗でお茶を楽しめます。

このユニークなスタイルは、大学院まで陶芸を専攻してきたじんじんさんが「楽焼き」という手法の面白みと出合ったことがきっかけの1つで、ある日突然路上でお茶碗を焼いて楽しむ光景が思い浮かんだのだとか。

 

 

 

 

午前11時30分の開催時間を前に周辺はすでに30名ほどの人だかりが出来上がっていました。

その多くは家族づれで、なかには「告知のポスターのじんじんさんに一目惚れして来ました!」という年配の女性も。

 

参加者は、じんじんさんが事前に制作したお茶碗から好きな形を選んで、絵付け作業を開始。

 

 

 

しかし、土とガラスが混ざった釉薬は、絵の具とは異なった質感で水彩のようになめらかに色は付かず、油彩画を描くように釉薬を器に乗せていきました。

 

 

 

絵付け中は隣り合った人同士、色を混ぜ合わせた釉薬をシェアしたり、描き方を見合ったりと共同作業を楽しんでいました。

 

早い方は30分ほど、じっくり描く方は1時間以上かけて絵付けをし、完成したものからじんじんさんが陶芸窯に入れていきます。

 

 

 

焼き時間はおよそ20〜30分、窯から出したばかりの器はどれも色合いがクリアな印象。

 

 

そこからさらにいぶすこと20分。いぶすことにより、ガラス面の色合いがぐっと引き締まり、力強く変化します。

 

 

焼く前の釉薬のパステル調からは想像できない完成作品には、取り出すたびに歓声があがりました。
「じんじんさんが窯から器を取り出す瞬間はマジックショーを見ているような気分で興奮しました!」と参加者。

 


その後は、じんじんさんが点てたお茶を楽しむ方や、じんじんさんがこれまで全国各地で開催してきた「野点」にまつわる話を聞く方、皆さん思い思いの時間を楽しんでいました。

 

 
また同会場では午後から「もうひとつの野点」と題して、上田市の「御菓子処 千野」と「喜光堂」が特別出店し、和菓子に焼き型を押したり、自分でお抹茶を点てる体験も開催。

 

 

 

 

 

普段触ったことのない焼き印に感動したり、自分でつくったお茶碗で早速お抹茶を楽しむ参加者も。

 

 

 

いつもの道端に突如現れたじんじんさんと「野点」を中心に大勢の人が集う風景の面白さに、たまたま通りがかった人も思わず足を止めていました。

そのたびにじんじんさんは声をかけ、多くの方がそのまま吸い込まれるように会場に立ち寄っていました。

 

 

パフォーマンスであり、アートであり、ワークショップであるユニークな「野点」を通して、たくさんの方が思いがけず楽しいことに出合えた1日となったようです。