【レポート】サントミューゼ×Co.山田うん『DUO DUO DUO』
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サントミューゼ×Co.山田うん『DUO DUO DUO』
- 開催日
- 時間
- 14:00~
- 会場
- サントミューゼ 大スタジオ
これまでもサントミューゼで市民参加公演、アウトリーチ活動、滞在制作などを行ってきたダンスカンパニー「Co.山田うん」。2025年は3つのデュオ作品からなる舞台を披露してくれました。2日目の様子をレポートします。
二人の身体でつくりあげてきた作品群
カンパニーを主宰する山田うんさんと長年所属している川合ロンさんがつくりあげてきた「結婚」「Let’s Do It!」というふたつのデュオ作品。さらに、群舞でつくられた作品をデュオ版として初演する「In C」の3作品が上演されます。大スタジオの客席は県外から来られたお客様含めほぼ満席で、期待の高さが伺えます。
1作品目、山口将太朗さんと角田莉沙さんによる「Let’s Do It!」は、ジャズ・トランぺッター、ルイ・アームストロングの名曲に着想を得た作品です。


黒一色の衣装に包まれた二人の身体は、時に身体を預け合い、時に拮抗し、デュオならではの凝縮力と余白を感じさせます。
音楽が「Potato Head Blues」に切り替わると、ユーモラスで軽快な雰囲気に一転。

最後、山口さんが角田さんを頭からすくい上げるようにリフトするダイナミックな動きで終わります。

2作品目の「結婚」は、飯森沙百合さんと黒田勇さんが踊ります。「Les Noces」は結婚の意で、ロシア民謡をもとにしたストラヴィンスキーのバレエ・カンタータ。4台のピアノと打楽器、合唱と独唱という異色の構成で、土着的な力強さに満ちています。
舞台に照明が灯ると、ピアノと叫ぶような女性の歌声と、男性の頬に女性が蹴りを入れた瞬間のようなポーズの飯森さんと黒田さんが現れます。

支度をする花嫁と花婿、生家を発つ花嫁、そして結婚の宴――さまざまな場面や登場人物が4人の独唱者で表現される音楽同様、ダンスも二人でさまざまな情景を目まぐるしく表現していきます。

引きずられる泣く女性、女性に背負われる男性、お互いの目を隠し合う……。

結婚という共同体の儀礼のただ中にある身体と感情が、二人の踊りに表出します。一層激しく踊る場面は結婚の宴でしょうか。最後、床に寝ころびお互いに腕を伸ばしながら突っ張り合う身体で暗転。踊り手の息づかいだけが残ります。

身体とダンスの地平を広げるような初演作品
休憩を挟んで3作品目は今回が初演のデュオ版の「In C」。テリー・ライリー作曲、ヲノサトルが音源制作したビートの効いた音楽に合わせ、ロンさんと組んだうんさんが頭を激しく上下に振っています。


押しつぶされたような白いガレキを動かし、上に乗り、二人の身体はさまざまに形を変えていきます。


身体の一部を小刻みに震わすような一層表現力が求められる動き、感情や心の動きそのもののような動き、起きそうで起き上がらない、前に進みそうで進まない抑制された動き、未知の何かに見える動き――ひとの身体とダンスが果てしなく拡張していくような感覚をおぼえます。


エネルギーを解き放つような終盤のソロを経て終わりました。
ひときわ大きな拍手が送られ、3組のデュオが舞台に登場します。
お客様の感想です。静岡から来た女性は「どんな状況でも踊りに輪郭があり、身体性がすごかったです」、同行していた小諸在住の男性は「音楽の力を感じつつ、それに負けない身体がありました。ダンサーの表情もコミカルだったり楽しそうだったり、印象的でした」と話してくれました。Co.山田うんの作品を何度も観ているという富山から来られたご夫妻は「いつも感動して、人間っていいなという思いがします。若い方の踊りから、今だけの身体の表現だと改めて感じました」と、余韻を噛みしめていました。
取材・文:くりもときょうこ
photo by James M Gray